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テンポラリー通信

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2012年 02月 10日

透明という普遍性-如月(9)

道立近代美術館の花田和治展を見た後画廊に戻り、阿部さんの
九州から届いた作品の梱包を解く。
4個口の内2個はすでに清華亭庭に運び込まれて、残りの2個が
ここでの展示用なのだ。
荷を解くと黒い大きな箱状の作品が姿を現した。
会場中央に設置する。
上部は黒く塗られているが、よく見るとこの部分は木である。
古い家具の板を使ったという。
焼きを入れ乾燥させ、木目を活かして黒い塗料が塗られている。
他の面は鉄板で構成され同じように黒の塗料が塗られている。
一方の側面には長方形に突き出た開口部があり、内側と通じている。
ここに孝臣さんのガラスのキャンドルが入ることを想定しているという。
これは、窯だなあ、と思った。
ここに灯かりが燈ると、火の光が洩れて窯の炎のようになる。
今回のふたり展の象徴のようである。
火を通して融合した鉄とガラス。
そして鉄のように固く締まった黒い木。
ガラスは水で阿部さんの叩き込んだ鉄の肌は、どこか土の質感を
漂わせている。そこに灯かりの火が点く。
水・火・土の根源的物質が、会場の風に揺れる。
そんなイメージが膨らんでくる。
雪の反射光に満たされた会場に、この窯のような作品が黒い泉の
ように沈んでいる。
今から月曜日の高臣さんの展示が待たれる。
他の小さめの作品も出して、この日の阿部さんの用意は終った。
明日から阿部さんは網走へ向かい、流氷を見る。
そこでふっと思い出して、宇田川さんから頂戴した十勝石・黒曜石
を阿部さんに見せると、手に取って目の色が変わった。
今回はこの黒曜石の産地訪問は無理だが、次回の楽しみにすると言う。
オホーツクの流氷と十勝の黒曜石。
この水と石のふたつの透明なるものに阿部さんの心は大きく揺れていた。
鉄とは何か、ガラスとは何か。
その存在が、水・土・火の根源的物質と有機的に関わる事を、
このふたつの透明な存在が語りかけるようにして在る。
凍りつく透明、燃えて凝縮する透明。
熱の両極がもたらす透んだ存在。
そこに物質の対極の現象が開く、透明という存在磁場がある。
作家とは、この透明という普遍性を創造行為によって実現しようと試みる
人間の精神的行為の実践者をいうのではないのか。
そして作品とは、その創造行為の結実・普遍という透明性に結晶したものと
思える。
自然は物質という形でその結晶をさり気なく見せてくれる。
地中の奥深くから湧く透明なもの、泉。
この存在もまた透明な普遍性なのだ。

*阿部守(鉄)×高臣大介(ガラス)「野傍の泉池(ヌプサムメム)」展
 2月14日(火)-19日(日)am11時ーpm7時。
*同上清華亭外庭展ー2月13日(月)-26(日)am9時ーpm4時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1ー8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2012-02-10 13:32 | Comments(0)


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