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テンポラリー通信

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2011年 12月 28日

あと三日ー烈々布(33)

今日で御用納めと、官庁に勤めていたTが言う。
あと3日で今年も終る。
深度の深い、長い歳月をかけた吉増剛造の銅板長尺彫刻。
その4巻の刻字の絵巻物には、故人の彫刻家若林奮さんとの40年余
の時間が詰まっている。
そしてその中に、ここ石狩・札幌との歴史も。
豪雪の後、陽射しが射して反射光が銅板を撃つ。
その赤銅色の輝きが美しい。
「燃えあがる映画小屋」という題名の吉増さんの言葉と映画の本があった。
その題名を思い出していた。
<燃えあがる銅板小屋>。
詩人の文字の彫刻が時と場所を刻んで、深い時空を空間に創り出している。
街の片隅の小さな小屋に、深い震源を保った稀有な時空が呼吸し雪明りに
燃えて点滅している。
年の終わりと共に、この作品も作者の家へと還っていくのだ。

17年前も多くの人が注目する訳でもなく、ひっそりと4ヵ月が過ぎた。
そして石狩・望来に滞在して「石狩シーツ」が、ひっそりと創られた。
「石狩河口/座ル」展はそうした中で1994年に展示されたのだ。
今回の「石狩河口/座ル ふたたび」展も同じように、ひっそりと展示
されている。
2年前の北海道立文学館「吉増剛造展」に見たような熱気はない。
しかしその内容は濃く熱いのである。
総花的な華やかさはなく、「石狩シーツ」誕生資料と銅板長尺4巻が主たる
展示内容である。
しかし<・・・ふたたび>という年月の根の深さがある。
その深度は近くにいて見えないものなのかも知れない。
遠くの人が逆にその根を見詰めている。
そんな気がする。

*吉増剛造展「石狩河口/座ル ふたたび」-12月31日(土)まで。
 am11時ーpm7時。
*及川恒平ライブ「冬の鏡」-1月8日(日)午後4時~予約3500円当日3000円

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2011-12-28 14:45 | Comments(0)


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