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テンポラリー通信

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2011年 12月 20日

白い泉池の道ー烈々布(27)

休廊日の昨日冬の「緑の運河エルムゾーン」を歩いた。
待ち合わせ場所は、大通り公園イサム・ノグチのブラック・マントラ前。
冬場でこの黒い大理石の滑り台の周囲が囲われているのが残念だった。
碁盤の目の通りを遮り、通称鯨丘の小さな丘の傍に立つこの螺旋形の
滑り台を、現代のまいまいず井戸、アフンルパルに見立てたのである。
吉増剛造さんのご実家のある奥多摩にある古代の螺旋形の井戸。
同様の形をしたあの世とこの世の入口、古代アイヌ世界の螺旋形の穴、
アフンルパル。
その形に似た小さな螺旋形の滑り台・ブラック・マントラ。
そこをスタート地点にしてこの日の見えない水の道の旅が始った。
そこからヤマダ電器を経て植物園、伊藤邸、偕楽園緑地跡、清華亭、北大
サクシコトニ川沿い、縄文遺跡公園、第二農場モデルバーンのコースで
ある。総勢は吉増剛造さん外8名になった。
吉増さんをこの一年撮り続けている写真家の人も東京から飛び込み参加
して、案内役の私、河田さん、授業を差し置いてW大から急遽帰省した詩人
のFさん、徹夜明けの仕事を終えて参加した美術家のMさん、歌人のYくん
詩人のOくんの8名である。
当初吉増さんはこの行程を映像化し即この後会場で上映との考えだった。
しかし人数が増えた事もあり、撮影は断念する。
全員が揃い、午前11時過ぎブラック・マントラ前を出発。
河田さんが北欧製のそりを持ち込みそこにカメラを固定させて、そりを滑らせ
ながら低い位置から、行程を撮影する。
不可思議な一団が、凍てついた道路をのそりのそりと転倒に気を付けながら
進む。
途中休憩も含めて約4時間弱、現代のビル群から縄文の雪原まで、泉池と川
に沿った小さなタイムトラベルは終った。
その後さらに中川潤さんの車で、石狩河口へ向かう予定だったが、これは
中止し夕方からテンポラリーで吉増さんを囲む会となる。
銅板長尺を打刻しながら、話は今回の小さな旅から生まれた詩想の言葉
が語られた。続いて同行したFさんの出来上がったばかりの詩作朗読。
Yくんの同じく同行して生まれた短歌の朗読が続いた。
私にもなにか喋れと最初に吉増さんからの指名があったが、この日は
歩いて来たばかりで言葉は浮かばなかった。
深いタイムスリップの余波の内に心はまだあったからだ。
たいした距離ではなかったが、今回の水先案内人の役割を終えて、身も
心も疲労し言葉にならなかったのだ。
定休日の非公開の夕刻からの集まりにもかかわらず、道外の某美術館員
の方、東京某出版社の編集部の方と想像した以上に人が来て、さらに真剣
そのものの吉増剛造の話の内容も含めて疲れもあったと思う。
喜ぶべき事は、来年もまたここで同じ時期に個展をするという吉増さんから
の提案があった事である。
私の拙いこの場からの新たな回路、それがひとつ報われたかと思えるからだ。


*吉増剛造展「石狩河口/座ル ふたたび」-12月31日(土)
 am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2011-12-20 13:41 | Comments(0)


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