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テンポラリー通信

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2011年 12月 18日

晴天・寒気ー烈々布(26)

冷え込みが激しい。
水道管の水滴が氷柱となって、下に繋がっていた。
カメラのシャッターが落ちない。
昨日本人と同時に届いた吉増さんのトランク。
長尺銅板一巻とハンマーと鏨類。
この銅板が若林奮さんの最後の5巻目の銅板である。
これを床に敷き、文字を打刻する。
そこには、テンポラリースペース旧店舗名も打ち込まれていた。
その打刻文字痕を撮影しようとカメラを構えたが、シャッターが落ちない。
昨日の吉増さん到着までの長い待機の時間もまた、このカメラのようだった。
ホテルから地下鉄でこちらに向かうと電話があった時に、ある予感があった。
いつもと違う気配を感じていたのだ。
そしてその予感通り、それから数度の電話の遣り取りがあった。
地下鉄を降りてからの方角が、反対の方へ向かっている。
伝えられる目印の建物も知らないものばかりで、西東の位置が不確かである。
迎えに行きたいところだが、何とか探して行くと言ってまた電話が来る。
やっと知っている店の名前が出て、迎えに伺った。
今思うにこれもまた吉増剛造の心の道行きの始まりであったかと思うのだ。
「石狩河口/座ル ふたたび」。
その<ふたたび>の序章でもあった気がするのである。
手探りするように、自分の足で迷いながら探す。
その為にほぼ1時間は費やされたのだ。
オロオロ、モヤモヤ、ウロウロ。
そんな私をちょうど来て見ていたMさんが、乙女のようと冷やかした。
おっちゃん乙女、なんているのかしら・・ね。
なにはともあれ、何とか到着した吉増さんが発した第一声は、外に出して
ある看板文字の訂正であった。
吉増の吉の字の口の上の一の長さが違うという指摘である。
上下の下の一の方が短いのが正しいのだ。
看板の文字は下の一の方が長く書いてある。
この文字の間違い以外、展示については満足して頂きとりあえずほっとした。
来週以降作家滞在中に、これから如何なる展開が顕れるか。
しばらくはこの鋭い寒気とともに、ピンと張詰めた時間が続く。

*吉増剛造展「石狩河口/座ル ふたたび」-12月31日(土)まで。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2011-12-18 12:28 | Comments(0)


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