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テンポラリー通信

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2011年 11月 10日

somethin’elseー秋冷秋水(21)

いつもの事だが、ひとつの展示が終って次の展示の間には、
何もなくなった隙間のような白い時間が漂う。
余韻ともいえるし、どこか寂寥感を伴なった、気の抜けたような、
<somethin’else>な時間。
そういえば同じ名前のジャズのスタンダードがあったなあ。
その中の最初のナンバーが、「autumn leaves-枯葉」だった。
ミュートを装着したマイルス・デイヴィスの咽ぶようなトランペットの
細く高い音色がキャノンボール・アダレイの太いアルトサックスの
音色と絡んで、晩秋から冬への界(さかい)を繋ぐ。
そしてハンク・ジョーンズのピアノが枯葉が舞うように流れていく。
森本めぐみ展が終わり、吉増剛造展前期「1994 石狩シーツ誕生」
展までの束の間の空白。
滞在制作から完成までの力の入った余韻のようなものが、まだ空間に
漂っている。

1991年秋大野一雄石狩河口公演を見た後、翌年からブラジルへ客員
教授として旅立った吉増剛造は、その3年後帰国し再び大野先生の踊っ
た石狩河口に4ヵ月ほど滞在する。
その間に制作された長編詩「石狩シーツ」は、その製作過程で詩行が
添削され改変され、そのひと区切り毎に草稿を額装し会場に展示をして
いくという経過を辿った。
それが、1994年の最初の吉増剛造展「石狩河口/坐ル」である。
それから17年の時が流れた。
今回12月から始まる吉増剛造展は、そこを基点とした<ふたたび>
の「石狩河口/坐ル」展である。
そしてその展示が始る前に、17年前の資料・草稿を前期・プレ展として
展示し、<ふたたび>に備えたく思うのだ。
1989年秋の円山山麓「界川游行」に始る、見えない川と石狩の海への
道程から、1991年の石狩河口大野一雄公演、そしてそこから1994年
の吉増剛造「石狩河口/坐ル」展へと辿ってきたこの場からのひとつの
回路が、こうして長い歳月を深めて再び「石狩河口/坐ル ふたたび」展
として、結実しようとしている。
これは、二度と来ない<ふたたび>であり、円山からエルムゾーンの北の
現在地まで場を変えても変わらぬ私自身の地に深く触れている川の根・
空の根を問う展覧会でもあるのだ。

束の間のふっと真っ白になった空間と時間の中で、明日以降の心の
準備が静かに高まっている。

*吉増剛造展前期「1994 石狩河口/坐ル”石狩シーツ”誕生」
 11月15日(火)-27日(日)am11時ーpm7時・月曜定休。
*吉増剛造展後期「石狩河口/坐ル ふたたび」-12月1日ー31日

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2011-11-10 12:25 | Comments(0)


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