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テンポラリー通信

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2011年 11月 09日

森本めぐみ展終るー秋冷秋水(20)

ひとまわり成長した千尋のような顔をして、夕刻森本さんが旅から
帰って来た。
ちょうど来ていた旭川のTさんと再会。
Tさんは最後に作品「ふとん山・・赤い山」を購入してくれる。
Tさんのお土産の洋生菓子を頬張りながら、旅の話を聞く。
最初に小品「・・火を噴く山」を購入してくれたA氏もちょうど来て、
偶然最初と最後の来訪者と旅から帰った作家も揃って、本当に個展
最終日らしい夜となる。
搬出は翌日の予定なので、閉廊後打ち上げに飲みに行く。
宇田川さんの店で私はビールを注文するも、森本さんは即日本酒。
いやはや、酒の腕も上げたもんだ。
美味そうにぐいっと一気に流しこんでいる。
私は帰り自転車なので、心も酒も控え目。
お酒も話し振りも、旅行前と比べ一皮向けた感じで、会話の距離感が
大人に感じる。
いやはや、千尋は旅に出てハクを救い出し、親を発見し逞しくなった。
控え目に盃を重ねる自分が、カオナシのようにひっそりと椅子に腰掛けて
居るような気分だった。

先日写真家のFくんが昨年来撮っている文月悠光さんの顔写真を持参
してくれた。
高校3年生の時、それから程なく東京の大学入学後、そして今年と3枚
のポートレイトである。
この3枚の顔の表情変化は驚くほどである。
1,2年と言わず、何ヶ月かで人の表情は大きく変わる。
まして人生上の一つの選択を終えた時は、特にそうである。
若い女性は特にそうである。
森本めぐみさんもまた、そうした時期を越えてきたのだろう。
その意味でもこの時期の今回の個展は、大きなひとつの転換期に
為された個展と思う。
作品が先か、生活が先かは問題ではない。
相互に関わりながら、ひとつの山を越えたのだ。
千尋は千となり、再び成長して千尋へ。
私は釜爺になったり、カオナシになつたりして、決してハクとはならない事を
自覚して、見守っているようである。

Uさんの都合でキャンセルとなった会期を見事に埋めて、良い時間・空間
を創ってくれました。あらためて感謝の意を表します。

*吉増剛造展前期「’94石狩河口/坐ル・石狩シーツ誕生」-11月15日(火)
 -27日(日)
*吉増剛造展後期「石狩河口/坐ル ふたたび」-12月1日(木)-31日(土)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2011-11-09 12:28 | Comments(0)


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