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テンポラリー通信

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2011年 11月 04日

火山と海の千尋ー秋冷秋水(17)

「千と千尋」の千尋のように森本さんが旅立って、
気がつくともう11月。4日も経っている。
切符を手渡した釜爺のように、見送った気がする。
ふと暦を見ると、もう今年の分はあと2枚。
最後の秋晴れが続いて、風も空も透明である。
競馬場のフェンスの蔦の紅い緞帳も、下を向いて降りて来た。
テンポラリースペースの蔦の壁も、葉が落ちて実が露わになっている。
その蔦の実を小鳥とカラスが啄ばんでいる。
蔦にも実があるのね、と訪れたAさんが感心していた。
2階西窓の磨りガラスに真っ赤な蔦の翳が映って揺れている。
その深紅の色彩が、1階北側壁に飾られた「くぼみ火山ーcaldera lake」
の深紅と交響している。
そして磨りガラスの不透明な灰色は、1階南側窓に吊られた「くぼみ火山ー
confetti」の死火山の灰色と呼応する。
この2点の対応が、今回の展示の磁場を創っている。
その2点の真中に位置する東正面壁の作品「ものもつ子のこと」は、
赤が印象的な作品で、この上部に位置するまあるい赤の球体は、
左右に陰陽を従えた太陽神のようでもある。
宮崎駿の「千と千尋」は、川の世界水の世界が背後の主題だったが、
森本<千尋>は、赤い・火の世界が主題と思える。
そして水は川の世界ではなく、海へと提示されている。
滞在制作の最初に持ち込んだふたつの小品。
それは噴火する「ひをふく山と上白糖」と「ものもつ子、海へ」の二点だった。
その見えない火と水が、故里の恵庭を形成した大地の父母である。
その今は見えない大地の父母を探し出す旅、その道程が森本<千尋>の
今回の個展の大きな主題でもあったのだ。

澄んだ秋空が広がる日。
水の澄んだ大きな湖の中を、千尋を乗せた電車が走ってゆく。
そんな映画のシーンが重なるような今日の青い空だ。

*森本めぐみ展「ものもつ子のこと」-11月8日(火)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2011-11-04 12:27 | Comments(0)


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