福島県須賀川市の川村龍俊さんから、9月の通信が来る。
6月に植えたヒマワリを刈り取り被爆線量を計ると、
7ミリシーベルト/時だった。
刈った7トンのヒマワリはドラムカンにコンクリート詰にし、
土中に埋めたという。
それからもう恒例の高圧洗浄の実施状況、そして低量内部被爆の
将来の発症の可能性を語っていた。
さらにまた先月台風襲来時の洪水の様子などが、綴られている。
目に見える災害、そして目に見えない放射能の災害。
こうした赤裸々な日々の記録を読むと、今日の澄んだ秋日和もにわかに
秋冷の刃にも見えてくる。
同じ空の下で、同じ日本列島の上で、弓なりに堪えている場所がある。
日々洗浄・廃棄・不安と向き合い、太陽に向かって咲く向日葵が、地中の
黒い死の太陽を吸込んで埋葬される。
そんな見えない明暗を画する世界が、同時進行でこの秋を深めているのだ。
もうこれで5回目となるフクシマ通信。
今年初めひょんな事からお知り会いになり、お顔もまだ知らずメールだけ
のお付き合いだった。
その為封書や葉書のように住所を書く事もなく、ただメールアドレスだけで、
展覧会通知などを送っていた。
その後あの大震災があり、住所不在のメールから一転して宛名が付いた
お手紙と共に初めて、<フクシマ県>が大きく意識されたのであった。
それからこうして時にお手紙、時にメールの返信としてフクシマ通信を
頂いている。
それから最初の今年の春は深く反転し、夏も秋も弓なりに反ってその姿を顕す。
そしてこれから来る冬は、あの3・11の一年までどんな雪を纏うのだろうか。
*森本めぐみ滞在制作展「ものもつ子のこと」-10月12日(水)-30日(日)
am11時ーpm7時:月曜定休。
*予告:11月吉増剛造展「1994年・石狩シーツ誕生まで」。
*予告:12月吉増剛造展「石狩川に坐ル・ふたたび・・・」。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西6丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503