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テンポラリー通信

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2011年 10月 11日

エルムゾーンを歩くー点と線(18)

森の桂の巨木をみたいという有山さんたちを案内予定していた昨日の休日、
その円山川ー界川ルート散策は、熊騒動の余波で中止する。
北海道神宮前や藻岩山山麓住宅街に熊出没という事は、コースが完全に
熊の道と重なるからである。
事実その導入部は立ち入り禁止となっていた。
おまけに月曜日は暗い雨模様で、熊日和(?)だった。
急遽平野部のハルニレに変更し、大通り公園のイサムノグチ・ブラックマン
トラから植物園ー伊藤邸ー偕楽園緑地ー清華亭ー北大構内ー第二農場
モデルバーンのエルムゾーンルートに変更する。
ほとんどが一度は訪れた事のある場所ばかりの為、同行した有山さんも
今村さんも少しがっかりかな、と感じていた。
しかしこのコースは部分点としては既知でも、線としては未知の筈である。
案の定歩き進む内に、ふたりの目の色が変わってきた。
雨中の植物園内は緑も濃くしっとりとして、さまざまな巨樹が美しい。
これらの大樹は、もともとここに生えていた原生林である。
そのエルムやイタヤカエデ、ミズナラの自然林の中を徘徊する。
そして点在する木造の洋館、さらに博物館内には棲息していた鳥や動物
たち。縄文遺跡の土器や先人研究者たちの記録が並ぶ。
それから外へ出て、伊藤邸の正面から庭の川跡、植物園と連なる巨樹を
フェンス越しに眺めてから、JR高架線をくぐり偕楽園緑地へ進む。
そこで祀られた水の神井頭龍神を横目で見て清華亭へ入る。
庭のエルムの大木に感嘆した後、裏手の道を抜け北大構内に入り、サクシ
コトニ川沿いに中央ローンを歩き、北大博物館の優雅にして豪壮な建物に
入り軽く展示物を見た後、北大第二農場モデルバーンに歩を進める。
「風と共に去りぬ」の映画の背景のような大きな木造の建物が、緑の芝生と
大樹に映える美しい処である。
建物の内部に保管されている様々な農具とともに、ある一棟には当時使われて
いた大きなエルムの鐘が展示されている。
打楽器奏者の有山さんは、すかさずその鐘を打つ。
澄んだ大きな音色が建物全体に鳴り響く。
昼夜色んな合図にかってこの鐘は使われていたのだろう。
モデルバーンの澄んだ空気を堪能した後、北大構内を出て居酒屋ゆかりへ
向かった。祭日で休みかと心配したが、店は開いていた。
中に入りほっとして、3人で小さなこの日の旅の終わりに乾杯した。
我々の坐ったテーブルには、ドイツの谷口顕一郎さんの大きな作品マップが
敷かれている。
話は自然と谷口さんの昨年の個展の話になり、作品に感銘した有山さん、
今村さんの感想が続いた。
そして今年録音予定の今村さんの初CD製作の話となり、そのCDジャケットを
谷口さんに頼もうかという展開となった。
今村さんのオリジナル曲で構成される初CDには、古館賢治さん、有山睦さん
も演奏者として参加する。
昨年の谷口顕一郎札幌個展の際、3人とも会場でライブをした人たちでもある。
沖縄のムラギシの友人さとまんさんが泣き、ケンとあや夫妻も泣いた名演奏で
あったのだ。
それからムラギシの話になり、音楽が繋いだ人の縁を思っていた。
するといつのまにかBGMの音楽は、ムラギシの遺作集のCDに変わっていた。
居酒屋店主たちの優しい配慮である。
ここのふたりは谷口展のライブの時も来てくれ、声を出して喜んでくれたのだ。

熊騒動から予定のコースがエルムゾーンのコースに変わり、その結果思いも
寄らぬ方向へこの日の流れは導かれていった。
一緒に歩いたふたりのミュージシアンは、最後はやはり音楽へと繋がっていった。
エルム(ハルニレ)に纏わるアイヌ神話では、エルムは創造神を産んだ姫である。
今村さんの初CDの話は、自然とそうしたエルムの創造神に導かれて生まれた
この日の結論なのかも知れない。

*森本めぐみ滞在制作展ー10月12日(水)-30日(日)。
 
 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2011-10-11 14:15 | Comments(0)


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