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テンポラリー通信

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2011年 10月 06日

空気・水ー点と線(15)

生きて、空気と水という地球の基底にある生存条件を
豊かに清浄にする生物圏。森そして海。
雲を生み、風を生み、水を再生し、空気を浄化する。
その大きな循環の中で、地球上の生き物の命の営為がある。
公共・パブリックという基底的概念は、この空気と水のように
命が共有するものとしてある。
秋鮭漁が駄目になった川、と福島県の川の報道が今日のY新聞に載っていた。
百年以上続いた鮭漁の廃絶が懸念されるという。
生きて、空気や水を清浄にしない生き物とは、人間だけではないのか。
自然界には絶妙なバランスで、天敵のような抑止力がある。
そのバランスを超えて暴走すると、闇が世界を覆う。
魚が消え、鳥が消え、森が枯れる。
海が汚れ、澱み、腐海が広がる。
放射能汚染も元はといえば、東電という一企業から発している。
かって公害といわれたものも、元はといえば一私企業の垂れ流しである。
一私企業が公共的な被害を与える事が、公害なのだ。
ひとつのエゴが共有の基底的条件を侵食し、破壊する。
国家の帝国主義的エゴ、大企業のインフラ帝国主義的エゴ。
エゴが企業的に、国家的に増幅し増殖した時、先ず最初に
地球の基底的公共が破壊される。
一本の樹が繁茂し大きな圏を作ったとしても、そこには多様な生き物が共存し
空気を浄化し水を生み、地球の基底を豊かにこそすれ、脅かす事はない。
森というランドは、多様な命の宇宙でもあるからだ。
海もまた多様な命の水のランドである。
人間だけが、ランドを無化するランドフイルを生む。
かって東京湾をゴミで埋め立てた土地を、夢の島といった。
この埋め立ては今、地震や台風時に液状化現象を起し元々の岸辺が氾濫する
渚現象の原因といわれている。
都市という欲望の消費帝国は、多量の塵芥と余剰廃棄物を生み、その処理場
をランドフイル(ゴミ最終処分場)とした。
夢の島とはそうしたランドフイルの別称でもあるのだ。
人間は豊かさを求めて、ランドを夢みる。
アメリカという新大陸は、そうした豊かさのドリームランドでもあった。
だからアメリカ大陸での成功を、アメリカンドリームともいう。
しかし皮肉な事に、この国は今世界で最もゴミを排出している国でもあるのだ。
夢のランドは今や、ランドフイルという夢の大国となった。
かって東京湾の埋立地を、夢の島と命名した人の巧まざる先見の明を
思うのである。
ランド→ランドフイル。
この回路を根本で断つ為には、何を為すべきなのか。
真の公共(パブリック)とは何かを、社会的基準だけではなく地球的規模で捉え、
森に海に教示を請わなければならない。
鮭の還れない川を生む人間という生き物は。

*森本めぐみ展ー10月12日(水)-30日(日)am11時ーpm7時。:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2011-10-06 14:47 | Comments(0)


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