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テンポラリー通信

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2011年 10月 04日

24軒ライブ-点と線(13)

山がうっすらと白い額になって、紅葉もまだ見ぬ内に
ストーブの火が恋しくなる。
山側の住宅街には熊出没の報道。
各地から初雪・冠雪のニュースが流れてくる。
秋を飛び越して、このところ一気に冬の気配。
10月入ったばかりだから、この後また暖かい日もあるだろう。
今日は久し振りの青空。
それでも寒さがあるので、バーバリー羽織って自転車飛ばす。
今晩は日章堂印房で初めての店主ライブがある。
酒井博史さんのこの店が薄野界隈から現在地に移転して、
もう3年目。
印鑑と活字印刷の新たな拠点として、琴似屯田兵村の面影残る
西区24軒の通りにある。
この24軒という地名が、この場所の古さを表わしている。
さらに西に8軒という地名があり、そのさらに西の山側には
12軒通りという通称も残っている。
これらはすべて琴似川沿いの地名である。
今は西区だ、中央区だとデジタルな区画に仕切られているが、
本来は琴似川沿いに人が住み着いた名残である。
この一帯に縄文遺跡が多い事でも、その事実が解る。
地質学ではF・Kと略され、Kは琴似川のK、Fは扇状地のFである。
この琴似川扇状地が札幌のほぼ3分の1を形成している。
他はF・T(豊平川扇状地)と、F・H(発寒川扇状地)である。
これら川の流域によって有機的に分かれた地域感覚は、現代の
デジタル区分ではとうに喪われてきた。
物流インフラの交通網は、物流の中心を基点として効率的に分配する
直線の構造で、川の有機的な地形を埋め立て平坦にして直線化して
街を形成してきたのである。
車社会の発達がさらにその直線化を推し進めた。
微かに残る24軒などという地名のみが、かっての集落の原点を
留めている。
震災や台風の度に最近話題になる液状化現象や渚現象とは、この
自然の地形からの逆襲であり、警告でもある。
谷を埋め、川を埋め、海岸を埋めてフラットに形成された虚妄の大地。
そのバーチアルリアリテイーの虚が、現実になる事を意味する。
自然の地形に沿って集落が造られ、自然の地形に沿って道があった
時代の名残が、24軒という地名であり、8軒という地名である。
十二軒通りなどという通称はもう消えて、そこには今高級住宅街と
美術館が並んでいる。
この道を通るのは、高級車と主に道外・海外有名アーテイストの展示を
見物する人たちで、この地域自体の固有の地形は忘れられて、文化の
液状化現象が進行しているのかもしれない。
ともあれ24軒の屯田兵通りは、手仕事の活字印刷と印鑑彫刻に頑固に
拘る日章堂印房店主のギター一本の古く切ない旋律の美声のライブには、
誠に相応しい場所でもあるのだ。

*森本めぐみ展ー10月12日(水)-30日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2011-10-04 12:58 | Comments(0)


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