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テンポラリー通信

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2011年 07月 05日

ドイツからー夏日幻想(19)

ルイス・ベーマーは明治15年開拓使を辞し、その翌年横浜にベーマー商会を
設立し日本人園芸家を育て、後の横浜植木組合(現横浜植木KK)の礎を創る。
その間の事情を現横浜植木KKの造園部顧問の方が、詳しくベーマー会会報
3号に記されている。
ドイツ人ベーマーがアメリカに帰化したのは、24歳の時である。
生れはドイツ・ハンブルグ近郊、リューネブルク。
ここで不思議な符合をずっと感じていた。
美術批評家なかがわ・つかさが北海道に移住したのも24歳である。
ベーマー会報3号に書いた「夢の系譜ーthe republic of dreams」
は、このなかがわ・つかさが北海道移住に際し記した文を枕に展開した。
明治と昭和、ドイツと日本という時代と場所を隔てて、ふたりの24歳は
新天地へと向かったのだ。
この文を私が書いていた時、同時に依頼され書いていたのがドイツ・
ハンブルグのギヤラリーへの文章だった。
ルイス・ベーマーの生まれ故郷の近くに向けて、花心伝心というタイトルの
文章を書いていた。
そしてもうひとつ、ベーマー会報3号が刷り上り手にしていた時来たのが
横浜生れの大下裕司さんだった。
そしてふたりでサッポロとヨコハマについて初めて濃く語りあったのだ。
何故かここにもベーマーの不思議な翳を感じるのだ。
そして今日、ハンブルグの画廊から始った展覧会の反響が届いた。
大きくドイツ語に翻訳された私の文は、何人もの人から好評でコピーを
要求されたという。
汗顔の至りだが、翻訳された方の力が大きいと思えるが、それでも
嬉しかったのは事実だ。
北海道という近代に固有の大地を媒介に、ドイツ・日本・アメリカという
国を超えた何かが渦巻いている。
そしてそこには、港と都という近代の入口と中心が、ヨコハマとサッポロという
都市の形で蠢いて感じられるのだ。
深く降りて、深く世界と繋がる。
この垂直な軸心が、閉じようとする閉塞状況を木霊のように撃ち、心の扉を
開いてくれる気がした。
19世紀に人類が夢みた<United dreams of America>
その夢の系譜がこの北海道にも具現化し、近代の伏流水のように
ある事を感じている。
そして戦後すぐに熱く書かれ、発表後作者自身がすぐに封印した鮎川信夫の
名作長編詩「アメリカ」が、また脳裏に甦るのである。

 「アメリカ・・・」
 もっと荘重に、もっと全人類のために
 すべての人々の面前で語りたかった
 反コロンブスはアメリカを発見せず
 非ジェファーソンは独立宣言に署名しない
 われわれのアメリカはまだ発見されていないと
 ・・・・
 ・・・・
 そして至高の言葉を携えた使者が
 胸にかがやく太陽の紋章を示しながら
 宮殿や政府の階段をとびこえ
 おどりたつ群集をおしのけ
 僕らの家の戸口を大きな拳で敲く朝のことを・・・
 ああ いつの日からか
 熱烈に夢みている

*西田卓司展ー次回予定。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2011-07-05 12:27 | Comments(0)


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