人気ブログランキング | 話題のタグを見る

テンポラリー通信

kakiten.exblog.jp
ブログトップ
2011年 05月 24日

リラ冷えなる・・ー燃える春楡(18)

沖縄では映像作家石田尚志さんの個展のようすが、マイミクのさとまんさん
の日記から伝わってくる。
と同時にその夜恋人から送られたという「白い恋人」とサッポロビール黒ラベル
を飲んだというさとまん日記に、思わずにゃりと笑みが洩れる。
昨年ドイツの谷口顕一郎さん里帰り展に偶然来ていたさとまんさんの涙を、
思い出した。
この時たしか、北の恋人に会いに来た旅だったはずだ。
あの涙は何だったのだろう?

阿部守さんは道北への旅を終えて、今日帰札。
そして明日九州へ帰る予定だが、今夜は札幌最後の夜なので、
昨年会えずにいた清華亭関係者にも会わせたい。
昨年、阿部作品に惚れ込んだ人たちである。
サッポロ芸術村の村長のような人が率いるアート団体が当時唱和していた
「パブリックアートの地産地消」。
この掛け声に九州の作家阿部作品は排除された訳でもないだろうが、
昨年5月の新聞紙上には、声高らかに「地産地消」が、謳われていたのである。
さらにサッポロアート団地のニュータウンリーダーは、大規模地下通路と原始林
を国際芸術展開催の烽火のように打ち上げていた。
そして奇妙な事に、このふたりのリーダー的存在は同じ展覧会に顔を揃え、
「地産地消」の旗印の下にいたのだ。
国際芸術展と地産地消。
よく分からないアートの野合である。

これらアート系の人たちは実は’80年代に阿部守さんに出会っているのだ。
’80年代に佐佐木方斎がリードした北海道現代作家展で、初めて阿部守は九州
から来道し展示している。
こうして毎年阿部守展があり、本人が来ていても、顔も見せない。
作品を回路として繋がるよりも、人間関係を主としてムラを形成しているゆえ、
それがニュータウンであろうと村であろうと、その意識は変わらない。
個として作家の基点を希求し、北へと巡礼を続ける単独行の阿部守とは、
立ち位置があまりにも差があり過ぎるのだ。
九州アート村の村長に収まらない個としての、作家精神を少しは煎じて飲んだ
方が良い。

*鉄・インスタレーシヨン 阿部守展ー5月20日(金)-6月5日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2011-05-24 11:20 | Comments(0)


<< オキナワの青ー燃える春楡(19)      そして翌日ー燃える春楡(17) >>