久し振りに写真家”ガメラ”Fと美術家”渚のハイジ”Sさんと飲む。
ふたりは以前から居酒屋ゆかりの宇田川洋さん、古屋千鶴さんに会いたい
と言っていた。それが昨夜実現した。
噂のダシ巻き卵焼き、大いに満足してふたりの笑顔が溢れた。
なにを話したか、その後の事はあまりもう定かではない。
食い気の私、最近食べずに飲む事が多い。
すると翌日、不調である。
思い出したのは、もう帰る頃MのCD曲が流れていた事である。
SさんがMを思い出してしんみりとした表情を浮かべていた。
生前Mに会った事のあるのは、私とSさんである。
Fも山田航さんもゆかりの人も他は誰も会った事はない。
でもこうしてMの遺作集を店に置き、ふっとさり気なく曲を流してくれる。
先日東京新聞にMの事を書いた山田さんもそうだが、ここでもみんなが
Mの事を愛しんでいる。
この親和力は何処から来るのか。
遺された楽曲と多くの人の追悼からそれは生まれて、一度も会ってなく
とも、こうして酒場に曲が流れたりするのだ。
我々の座った奥のテーブルには、谷口顕一郎さんの大きな凹みマップが
敷かれている。谷口顕一郎さんの親しい後輩でもあるSさんは、入ってすぐ
気づき声をあげた。だから初めての固さはすぐに消え、最後はMの曲で心が
お酒とともに流れていったのだ。
会ったことがないのに、彼がそこにいないことが不自然に思えてくる。
今だって写真と同じ笑顔を浮かべて、ギヤラリーの戸を開けて来訪しそうな
気がするのだ。会ったことがないのに。
(山田航「出会えなかった友の話」)
昨日の夜もそんな夜だった。
酒場の<戸を開けて来訪しそうな>そんな気がした。
Mよ、
戸の向こう、そっちはもう春なのか?
*「記憶と現在ーそのⅢ」展ー4月12日(火)-5月1日(日)
am11時ーpm7時:月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503