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2011年 04月 06日
「手の力」取り戻そうーと森まゆみさんが書いている。 日々報道される被災地の姿にその事を感じていた。 人手、手助け、手当て、手探り、手弁当、そこに手の温もりを感じていた。 手間を省くものが便利とされ、手は操作になり、人は手から遠のいてきた。 オール電化住宅、温風暖房、とスイッチひとつで事足りる生活。 手をかざせば水が出て、扉の前に立てば扉が開く。 タワービルに住む住人は停電で、外出に苦労したという。 37階から降りて登る。 これら石油や電気による増幅装置が停止した被災地では、人の手が 直接人へと心も物も手渡している。 その直接性が、日々毎日の心のヒーロー、ヒロインを生んでいる。 普段何気なくあったもの、例えば一冊のアルバム、一葉の写真。 それらを発見し触っている姿が美しい。 漂流していた犬と飼い主の再会の姿には、先ず触れる手から その感動が伝わるのだ。 普段普通に何の意識もなく撫でていた触れる手。 それは操作するだけの手ではない。 手に心が顕われている。 手渡すという手。 その手が掌(たなごこころ)を失い、ドットを押すだけの操作道具となって 私たちは大事な手が伝える、掌(たなごころ=手の心)を喪失してきたの かも知れない。 血の通った掌とは、人の個の心でもある。 37階のタワーマンシヨンのように、エレヴェーターに乗り37を押すドット生活。 そこに象徴される掌(たなごころ)を消去する手。 ケイタイもパソコンもこれらを構成する画像はこのドット構造である。 画像だけではない。 高速エレヴェーターも地下鉄も新幹線も距離のドット流通構造である。 1階から37階に高速で移動するように、より大規模に高速インフラ装置があり それは隈なく我々の生活全般に張り巡らされている。 手間を省き、手から遠ざかる事が進歩と発展と思われてきたからだ。 しかし今我々が日々感じているものは、今度の大震災・原発事故の現場で 必死に生きる人たちとそれを助ける人たちの<手間>の交換・感動である。 この対極にある手で触る事が出来ず、操作でしか運用できないものの象徴 が原子力発電所である。 その掌から一番遠いものによって我々の命が今脅かされている。 便利の根元に位置するものが、死者をも遠ざける。 死後被爆した地震・津波の死者には、手で触る事さえ出来ない。 この掌を遠ざけるドット構造と対極にある筈の個の掌の力・芸術・文化こそ今、 問われなければならない。 掌(手の心)を表現の高みに立ち上げるすべての芸術・文化の基底を見詰め 直し、産業経済社会のドット的暴走をチェックすべき役割を担っている筈の 芸術・文化が、アートという名の補助輪的ドット構造の匂い消しとしてしか機能 していない現実を見直すべきである。 ドット・パック構造の都市インフラ機能、その無機質な掌喪失風景を隠蔽する 眼の匂い消し、音の匂い消し、本質的なものの化粧隠し。 そうした<匂い消し>の役割を果たすかのように、アートが蔓延している。 曰く”アートで町興し、日常にアートを”等々。 本来デザイン的機能が果たすべき役割を、芸術・文化を標榜しているのだ。 根源の掌の哲学を保持せず、美的技術のみがドット的に流用されている。 そうしたアートを標榜したブンカ運動こそ今徹底的批判しなければならない。 *「記憶と現在ーそのⅡ」-4月10日(日)まで。 am11時ーpm7時。 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向 tel/fax011-737-5503
by kakiten
| 2011-04-06 13:50
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