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テンポラリー通信

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2011年 03月 25日

屯田兵と訪問者ーland・fall(26)

4年ぶりだろうか、デザインの仕事をしているYくんが来る。
昨年盗難にあった名自転車をTさんとともに寄贈してくれたYくんである。
しばらく体調を崩していたと聞く。
展示中の岩手の物故作家村上善男のフアンで、やはりいいなあと呟く。
さらに尾道の野上裕之さんの作業手袋を縫い合わせた「鳥」の作品に
声を上げた。”これもいいねえ!”
そして正面にある鏡面ステンレスの3点組みの一原有徳作品には、
絶賛の声を惜しまない。
鏡面ステンレスの上にアセチレンで焼き付けられた歪みは、まるで
メルトダウンした炉心のようである。
下部の黒いフォートエッチングの重なりは津波の痕のようである。
並ぶ3枚のステンレスの鏡面は、そこに映る風景を歪ませ非日常を造る。
この一原作品の下の床には、ゴム布に描かれた佐々木徹のコラージュ
作品が広がっている。
都市の衣装の皮膜のようにも見えるこの作品は、硬質な一原作品世界と
対照的に都市を呼応して在る。
こうして会場の作品群を通して会話のキャッチボールが弾む。
するともう我々の4年間の空白は消えた。
奥の談話室で珈琲を淹れ四方山話に入った時、入口で若い声がした。
東京から帰省した文月悠光さんとその友人だった。
水道水の汚染やらでさらに帰省が伸びるという。
帰省は年末吉増剛造さん来廊時以来だ。
東京生活にももう馴染んだ様子の文月さんだが、今回の東北沖大震災
の余波は精神的に大分堪(こた)えているようだった。
そこへ来週から始る「DIVE・DOCUMENT-琴似屯田兵村」展示チラシを
持参して市役所のK氏が来た。
会場は札幌市役所ロビーで、琴似の屯田兵屋改修工事竣工に併せた
札幌の歴史を今に問う企画展示である。
チラシ両面にコピーされた何百人が重なり横一列に並ぶ
当時の屯田兵の写真が凄い。
これを拡大して、最近開通した札幌駅ー大通り間の大規模地下通路に
展示したら凄い迫力と思う。
下手なパブリックアートなど、吹っ飛んでしまうだろう。
正に地下通路にこそ相応しい屯田兵群の列集である。
個性的な当時の無名の人々の顔、顔、顔・・。
細かく見ると、誰やらに似た顔が在る。
宇田川洋さんだ、中川潤さんだ、やれ誰それだとしばらくそんな話となる。
服装もまちまちで、みなこちら正面を見ている。
立ち姿もそれぞれに個性的である。
これが地下通路の壁に等身大で並んだら、ちょっと凄い。
よくある記念写真と違って気取りなく日常のまま、ぬっと立つている。
百余年前の日常が仁王立ちして、地下通路壁に立ち並ぶ。
現代の日常と際立つように、百余年前の日常が対比される。
急ぎ足で流れる現代人を、横でじっと見詰めて立つている普段着の屯田兵。
正に地下通路にこそ相応しい北の兵馬傭・歴史群像隊列ではないのか。

来週から市役所1階ロビーに展示されるこれらの資料とともに、山田航さん
の長歌朗読も予定されている。
帰省が伸びた文月さんも参加が決まり、演奏の文月トリオ大塚くん、瀬戸くん、
有山さんも張り切ってふたりの朗読を盛り上げる事となるだろう。

*テンポラリースペースアーカイブス「記憶と現在」展ー3月25日(金)まで。
*「記憶と現在ーそのⅡ」ー3月29日(火)-4月10日(日)
*及川恒平フォークライブ「まだあたたかい悲しみその2」-3月27日(日)
 午後4時~予約2500円・当日3000円。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2011-03-25 14:23 | Comments(0)


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