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テンポラリー通信

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2011年 03月 13日

ただ祈るのみーland・fall(17)

大自然の圧倒的力の前に、人間の築いた都市・集落は脆くも崩れ
ただただその非力を感じるのみである。
さらに人為的なものの象徴とも言える原子力発電所の危機は、
その事実に追い討ちをかける。
大地震・大津波・原発の瓦解の危機。
大地が揺れ、海が盛り上がり、空中に放射能の塵が舞う。
水も土も空気もすべてが襲ってくる。
普通に乗り物に乗り、歩き、食べ、TVを見ている事が、稀有な虚構の
ようにさえ思える。
そんな地獄絵のような被害地の映像を終日見ながら、今何が出来得るのか
茫然としながら、アーカイブス展の展示を終えた。
故一原有徳さんの「鏡面ステンレス+アセチレン焼+フォートエッチング」
故村上善男さんの「常盤村紙円の繰り」
安斎重男さんの「掌のジャコメッテイー」
故佐々木徹さんの「コラージュ」
坂口登さんの「精神と野草」
上野憲男さんの「水原にて」
岡部昌生さんの「touch on bikkky’s」の7点である。
一原さんの鏡面ステンレス作品は、都市の虚構性を象徴し、
村上さんの作品は伝統文化のしたたかな優美さをモダーンに顕し、
坂口さんの作品は文明と自然の対比を障壁画のように象嵌し、
安斎さんの撮影した掌のジャコメッテイーは、人間の孤独と暖かさを
表わしている。
さらに佐々木さんのゴムに描かれたコラージュは、文明社会の刺青の
ような印字感覚を落ちた風の皮膚のように表わし、
上野さんの作品は、水原への青いロマンに満ち、
岡部さんの作品は、触れる喜びを率直に伝えている。
これらはみな今回の被災者たちへの祈りを軸心にして展示した。
特に佐々木徹さんのゴム布に描かれたコラージュ作品は、床に直接置く事
で都市の柔らかい脆さを象徴させた。
まだ何点かの展示したい作品もあるのだが、この構成が現在の祈りを
表意する収蔵品展としてはベストかと思う。

ふと思い出し仙台在住の作家椎名勇仁さんに電話する。
今西宮にいると言う。
悪運強いからと笑っている。
元気そうで良かった。
続いて青森の作家首藤晃さんにも電話する。
こちらも大丈夫なようだった。
網走佐々木恒雄さんも大丈夫という。
とりあえず元気な声を聞いてほっとした。

*テンポラリースペースアーカイブス展ー3月15日(火)-25日(金)。
 am11時ーpm7時:月曜定休。
*及川恒平フォークライブ「まだあたたかい悲しみその2」
 3月27日(日)午後4時~予約2500円・当日3000円。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2011-03-13 14:52 | Comments(0)


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