2011年 03月 12日
3・11自然同時多発テロとでもいうべき地震・大津波が日本列島を襲う。 TVは昨日午後地震発生時から、被害状況のニュースを一日中休み無く 流している。 民放はCMもなく、ニュースの連続である。 そんな中以前から約束していた岩見沢の「居間」展を見に、 Yくんと駅で待ち合わせて行く。 2年ほど前一度訪れた石倉のある空間は駅を降りてすぐにある。 幸い展示者の森本さん、秋元さん、太田さんもいて会場を見る。 この古い石造りの蔵に3人の展示が活きていた。 1月札幌市資料館同じメンバーのそれぞれの個室展示よりも、 一体感が出ている。 民間の古い蔵が保つ有機的な空間は、資料館の旧裁判所の固い空間よりも よりテーマを融合させている。 吹き抜けの中央に光る紙片を籠に盛り上から花吹雪のように散らす森本さん、 吹き抜けから糸を垂らし見えない川に竿を下ろす秋元さん、そして1階壁に 自分の顔をデョコレートで塗りこめた記念写真の太田さんと、会場のバランス が活きている。 太田さんの社会的関係性を主題とする都市性と、故郷の川と故郷の火山を 主題とする他のふたりの自然主題の展示とが会場に合体して、初めて三位 一体の展示となった。 それは、この石蔵の保つ空間が3人の展示を抱擁し、引き立てているからだ。 昨年紀伊国屋ギヤラリーに始まり、テンポラリースペースの「空・地・指」展、 札幌市資料館と積み重ねてきた3人のそれぞれの個的テーマが、ここで一応 の完結をみせた気がする。 しかも3・11とでもいうべき大自然の同時多発テロの翌日にこの展示を見て、 都市と地相の不思議な符合を思うのだ。 森本さんの作品は前回の札幌軟石と布団の組み合せを止め、鮮やかな 金銀赤の紙片で支笏火山を象徴した事も、3人の一体感を生んだ要因と 思える。 只今回も思った事だが、北海道教育大学岩見沢校として、何故岩見沢駅前 の空間全体を使わないのだろうか。 わざわざ札幌のT画廊や資料館などを使い分散化せずとも、美術部全体で 何故駅舎も含めて駅前通り空き店舗、蔵をもっと総合的に利用しないのか。 昭和の香りするクラシカルな喫茶店、今は札幌駅前に見られないライフ ラインのお店、アーケイド等がみなそのまま活きるではないか。 新築されたグッドデザイン賞の最先端デザインの駅舎の本当に目の前の 昭和の商店街が活かされていないのである。 ピンポイントで今回の展示だけを見て帰るのでは勿体無い話である。 テークアウトできる美味しいお焼屋さんも点在している。 木造の豪華な料亭もある。豪壮な寺院もある。 岩見沢は本州・内地浪漫に満ちた町である。 札幌にはない固有の魅力があるのだ。 この岩見沢駅前すべてを上手く使えば、美術部の専攻別に空き店舗、 喫茶店、アーケード、喫茶店等が素晴らしい近代ワンダーランドになる。 美術館やギヤラリーにない、ゾーンとしての岩見沢ワールドが出来る。 この商店の裏に隠された石蔵もそうしてこそ真に活きるのだ。 たた一点ピンポイントのように奥の蔵ギヤラリーを訪ね帰る空しさに、 何の為に美術学部が岩見沢にあるのかと問いたくなった。 札幌中央志向のマイナー岩見沢意識である。 3・11自然同時多発テロを経て、都会(タウン)志向の産業系座軸を主軸とする 文化力(アート)はもうその限界を知るべきである。 美術=美術館という権威志向も含めて足下から耕し、止揚すべき時期が来ている。 *テンポラリースペースアーカイブス展ー3月15日(火)-25日(金) *及川恒平フォークライブ「まだあたたかい悲しみその2」-3月27日(日) 午後4時~予約2500円・当日3000円。 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向 tel/fax011-737-5503
by kakiten
| 2011-03-12 18:07
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