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テンポラリー通信

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2011年 03月 09日

再生の夢ーland・fall(14)

佐々木恒雄さんを送り、一夜が明ける。
会期中来訪した東京の写真家Rさんのブログに、
佐々木さんの印象が記されていた。

 「流れる血液の音がきこえてきそうな、きれいな人だった。」(rーnote)

女性らしいシンプルで感覚的な表現に、感心する。
エルムゾーン清華亭近くに実家のあるRさんの里帰り。
この人もまた、再上陸して故郷を見詰めていたのかも知れない。

3月4日の道新夕刊文化面トップに先日来廊した美術家川俣正の一文が
掲載されていた。
「北海道インプログレスー地域再生の夢に挑む」と題して先日行なわれた
ワークショップ・レクチャー・シンポジュムを振り返っている。
川俣正は1953年三笠市に生まれ、東京芸大を経て欧米で活躍し
現在はパリ国立高等学校教授の日本を代表する国際的現代美術家である。
28年前に円山北町でテトラハウスプロジェクトを共にし、先月久し振りに
ここを訪れた。
その際「札幌・緑の運河エルムゾーンを守る会」の話をし、共鳴してくれた。
その事実がこの一文の中心に据えられ語られている。

 ・・・今回の収獲は、地味だが骨太な地域の歴史的文化的なものの保存、
 再生の意志を持った人たちがいるということを知ったことだった。
 札幌の市街地にあるエルム(ハルニレ)を守ろうと、昨年夏から署名活動を
 行なう市民有志の「札幌・緑の運河エルムゾーンを守る会」。
 札幌の昔からの景観保存、そして新たな再生の提案として同会が考える
 これからの札幌、北海道に唯一、今回の来道で共感するものがあった。

三笠の生まれで、石炭産業の衰退を見てきた川俣正が、九州筑豊地区で
「コールマイン田川」のプロジェクトを10年近くこつこつと続けていた事は
周知の事実である。
彼の世界的に知られたインスタレーシヨンは、材木を使って都市建造物を
梱包するものだが、その梱包の深い所には炭住生活者の濃いコンミューン
のネットワークが存在していると私は感じていた。
2年前目黒美術館「’文化’資源としての<炭鉱>展で、目黒区美術館区民
ギヤラリーすべてを使って展示された川俣正コールマイン・プロジェクトでは
架空の炭住街を再現し、鳥瞰する筑豊、空知、ドイツのルール地方の町の
眺めが再生されていた。
この時私が感じた川俣正の転位は、炭住生活者の横軸のコンミューンから、
鳥瞰する縦軸・ランドへの転位と思えるものだった。
自らが生まれ育った街を鳥の眼で俯瞰し、まるごと包観する視座への転位
である。
この視座の転位にこそ、彼の長い闘いの総括の道がある。
そしてこの道程の先にこそ、彼の今試みようとしている北の<ランド>への
再上陸の試みがあるのだ。
佐々木恒雄のオホーツク再上陸、私のエルムゾーン再上陸、そして川俣正
のコールマイン再上陸。
それらはそれぞれが<ランド>としての里であり、国であり、
その再生の夢である。

 ・・・歴史が進歩発展によって夢あるものを生み出すばかりではなく、消えて
 行く歴史を生み出すものであるということ。
 そしてその結果、均一な、どこにでもある町並みが生まれ、積み重ねられた
 歴史がものの見事になくなっていく。
                        (川俣正・同上記事)

川俣正のコールマインプロジェクトは、彼の故郷三笠を母胎とする空知の夢
でもあり、彼のランド再上陸の夢でもあるだろう。
それぞれの地域に埋もれた夢の再発掘を通して、北海道島のランド再生を
21世紀の壮大な実験として進行中というのが、川俣正の今回の「北海道
インプログレス」の試みと思えるのだった。

 これからの21世紀に、そして北海道に、はたして夢はあるのだろうかー
 そんなことを思いながらも、まだ夢を捨てずにこの「北海道インプログレス」
 をこの地で少しずつでも進めてみようと思っている。

                         (同上・川俣正)

昨日から鉄の街室蘭で13日まで毎日川俣正のワークショップが行なわれる。
彼の北海道各地での今回の行脚は、夢の発掘行脚でもある。
地域を包括する大きな<ランド再生>行脚でもある。
この川俣の現代の親鸞のような往相から還相の行為に、北海道はランドとして
真に応え得るのか。
それぞれの地における真摯な生き方が問われているのだ。
<均一などこにでもある>タウンではなくランドとして、
さらには見えざる夢の都市(シテイー)として、
それぞれの地域の<消え行く歴史>が問われるのである。

*テンポラリスペースアーカイブス展ー3月15日(火)-25日(金)
 am11時ーpm7時:月曜定休。
*及川恒平フォークライブ「まだあたたかい悲しみその2」ー3月27日(日)
 午後4時~予約2500円・当日3000円。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

     

by kakiten | 2011-03-09 15:02 | Comments(0)


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