2年前佐々木恒雄さんが網走へ帰ると決めた時、同時に沖縄へ
行くと決めたチQさんと2人展をテンポラリースペースでした。
南と北へ旅立つふたり展のその時のタイトルは、「ランド!ホップする時」。
チQさんはその後事情あって今札幌に戻っている。
佐々木さんの今回の2年ぶりの個展を見ていると、ホップからステップへ
確実に今会期中に歩を進めている事が実感される。
昨日新たに2点の作品が生まれ、その色彩は実に柔らかである。
そして今最後の作品に取り掛かっている。
これは北極星のようにオホ-ツクブルーが画面中央に描かれた作品で、
この濃く盛り上がるように描かれた主題は網走で描かれ、札幌まで持参して
きたものである。
今その青い花のような星のような濃い青が、上半身の人体に心臓のよう
に置かれている。
ここからこの身体化したオホ-ツクブルーをどのように定着するか。
都市の風俗(タウン)と、オホーツク海の風土(ランド)を同時進行で並列して
2点描いてきた佐々木さんが、今札幌滞在最後の作品でそのふたつの要素
を凝縮した作品に挑んでいる。
これは彼の明らかな進化、ステップを示すものである。
「ランド゙!ホップする時」から2年。
網走という風土(ランド)を内包しつつ、青春に経験してきたニューヨーク、札幌を
風俗(タウン)として対自化し、単なる故郷回帰ではなく新たな自分のランド(故里)
を表現として再生しようとしていると思える。
それが青い花のような、青い星のような心臓の位置に置かれた主題なのだ。
そして今朝早くから会場に来て絵筆を進めていた佐々木さんが声を出す。
”出来た!”完成である。
冬のライオンが去り春の陽射し射す会場に、シンプルにして抽象性の高い
青い心臓が脈打っている。
「ランド!ステップする時」だ。
オホーツクの心音が響いている。
上陸(landfall)したぜ!
佐々木恒雄の身体(ランド)タッチ!
*佐々木恒雄展ー3月6日(日)まで。am11時ーpm7時。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503