彫刻家の岡部亮さんが、今は亡き江差のお祖父さんがコレクシヨンして
おられた黒曜石の一部を持参してくれる。
矢じりである。
薄く研ぎ澄まされた黒曜石の刃先が、不思議な透明感を保っている。
その加工された小さな破片のような黒曜石の数々を、食い入るように
高臣さんが魅入っている。
そしてガラスの窓に直接貼り付け、光を透してさらにその透明感を
確認するかのように凝視している。
その姿を見ていてやはり専門家は違うなあと思った。
そしてふと思った。
高臣さんのガラスは無色透明である。
しかし自然の黒曜石のガラスには、黒や灰色時に赤の色が潜んでいる。
巧まずして色がある。
とすれば無色透明というのも、実は巧みの為せる色である。
色をつけようとして、自然のガラスに色がある訳ではない。
色があるのも自然なのだ。
無色透明というのも色彩の技と思い当たる。
その事を感じていたのかどうかは分からないが、黒く透明な黒曜石を
集中して魅入っている高臣さんの視線の先には、そうした色の発見が
あったかのように私には感じられた。
最初に見た黒曜石が、加工された祭祀や狩に使われた道具だった事
も職人である高臣さんには良かったのではないかと思える。
昨日予感した通りこの日から体調も回復し気持全開で、夜は自然と
多くの人が集まり宴会となる。
今日は宇田川洋さんの所で、黒曜石の原石を見るのが楽しみである。
*高臣大介ガラス展「雪調(ゆきしらべ)」-2月6日(日)まで。
am11時ーpm7時。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503