風邪でぼんやりしながら慌しくF通運で尾道まで発送を終えたが
ふと夜中落ち着いて、あの梱包で大丈夫かな、と不安になる。
来た時のしっかりした梱包に比べ、あまりに緩い梱包の気がして
申し訳ない気持がする。
海を渡り急坂の尾道まで無事に「i・NU」が届く事を祈るのだ。
今週末に来札する川俣正氏に合わせ、彼の札幌での記念碑的
プロジェクト「テトラハウス・326」アーカイブス展を少し急ぎ過ぎた気
もする。
体調崩している割に、気だけは食事と歩きと同じで早い癖が出る。
最終日の夜何の打ち合わせもなく、自然と集った4人の友人たち。
その事実を今年初の水道凍結の尾道で、野上さんが感激してブログ
に書いている。
その前日には野上さんが聖母と慕う、帯広のOさんが子供を連れて来て
作品の前でご主人とともに寛いでいたのだ。
1歳半の可愛い碧ちゃんは遊び疲れてぐずり、奥の部屋で母乳をもらい
眠ってしまった。
大きな耳の付いた防寒コートに包まれたその寝姿を、作品の前で撮影した。
「i・NU」と幼女。そして聖母。
この写真は早く現像して送りたいと思っている。
そういえば、定休日に現像したフイルムには、初日夜の来訪者吉増剛造さん
と、文月悠光さん、大塚軟膏くん、山田航さんが会場に映っている。
夜も遅くでお酒も入っていたので、少しピントがぶれているのが残念だ。
吉増さんが私を入れて撮ってくれた写真も同じようにピンブレだったから
これはあの夜のテンシヨンの高さの所為と思われる。
初日から最後の夜まで、作品は幸せな時間に包まれて垂直に立つ磁場を
形成していたのだ。
この時間は新幹線的東奔西走の横軸の拡がりではなく、尾道でしっかりと
立った野上裕之の足元から発する時間の広がりである。
それぞれが一本の樹のように立っていて、森のようなさやめく世界を有機的に
形成したのだ。
初日の夜から最終日の夜まで、ふと集った人たちの樹木のような梢の会話。
良い時間でしたね、野上さん。
最後のご報告をして、梱包の不安を詫びる私でもあります。
*川俣正アーカイブス「テトラハウス・326」-2月21日(金)ー28日(金)
am11時ーpm7時。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503