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2011年 01月 12日

寒気続くー同時代の森(14)

水道管凍結の朝が続く。
水は毎晩落として帰るのだが、それでも翌朝すぐに水は出ない。
暖房を入れしばらくしてから、水が出る。
大きなゲップをするように、溜まった空気を吐き出してどっと
水が溢れる。
このところの朝の恒例である。

白く凍てついた内・外の空気に黒い犬が真っ直ぐ上を見て立っている。
野上さんの「i・NU」。
入って正面から見た時、跳んでいる鳥の面球が白い壁に映える。
そして正面右手窓に浮く大きな手の鳥が、会場に黒い点睛となって
この浪漫の見上げる犬を引き締めている。
空中に浮かぶ11個の鳥の面球は、もう半分が引き取られる。
「i・NU」は非売だが、欲しいと言う人が3人ほど。
しかし作家は多分これを傍らにいつも置いて、心安らぐ存在にしたいのだ。
この足を地に張って立つ定点が、この後も心の拠点となるのだ。
労働で使い古した革手袋は、よりリアルでフイジカルである。
労働の両手を合わせて、そこから跳ぶもの。
それは祈りでもあり、願いでもあり、野上裕之の垂直軸磁場のメタフアー。
この寒気の中でも、そこはすこしも冷たくはない。
窓外に氷柱が伸び、内も外も白く冷え切っている。
冷気は切れるように冴えても、寒気は逆に働いている。
撓む指の熱が、氷柱を成長させているかのようである。

今朝帰京したFさんからお礼のメールが届く。
<シンプルに行ってよかった。>
そう、シンプル イズ ベスト、と返事を送る。
東京へ帰る日の朝、北大エルムの森を歩いたという。
たっぷりと雪、たっぷりとエルムの森。
いい時間を過ごせて、シンプル イズ ベスト。
今回の野上裕之展、この言葉に尽きるのかもしれない。

*野上裕之展「鳥を放つ」ー1月16日(日)まで。
 am11時ーpm7時。
*高臣大介ガラス展「雪調(ゆきしらべ)」-2月1日(火)-6日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2011-01-12 12:41 | Comments(0)


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