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2011年 01月 11日
日曜日の昼過ぎ一通のメールが届く。 これからギヤラリーに伺いますとの連絡だった。 えっ、東京のFさんだ。 連休中、野上裕之展を見に行こうと決心したという。 Fさんはムラギシが四国の鏡川で水死した時近くにいた人である。 四国のヨサコイ祭りで初めてムラギシと会い、そのすぐ後遭難し、 川から遺体の発見時にも立ち会った人である。 その為しばらくこの事件の精神的ショックで、人に状況を話せなかった。 そして同時に、出会ってすぐこの世を去った青年の事をもっと知りたくて、 当時のテンポラリー通信を読み、そこへ非公開で当時の状況をコメントに 寄せてくれたのである。 それはこの死の状況を初めて人に話す事が出来たある安堵感と、それまでの 苦悩が伝わるものだった。 その後Fさんとは不思議な縁があり、友人の友人でもあったりして3年ほど前 大木裕之さんの招待で私が水戸芸術館に行った際に初めてお会いする事が できたのだ。 それから札幌へは村岸宏昭一周忌追悼展にも来て頂いた。 そして今回が3度目の出会いとなる。 野上さんとも以前お会いしているようで、今回はこのふたりとの出会いの記憶が ここまで来る事を決意させたようである。 きっとふたりへの心の<撓む指>がここまで飛ぶ<羽根>ともなったに違いない。 メールが届いて本当に間もなくFさんが到着した。 3年振りに会うFさんは、たおやかで目の澄んだ綺麗な顔であった。 会場にいた河田雅文さん、山田航さん、熊谷直樹さんにFさんを紹介した。 ゆっくりと会場を見ているFさんに私は、革手袋の鳥の吊ってある位置が ムラギシ遺稿集に掲載されている最後の個展時の遺影の位置と重なった、 その偶然の一致を話した。 そして、有山さんたちのモエレ沼公園ガラスのピラミッド館でのライブ演奏 を聞いてもらった。 曲はムラギシの「撓む指は羽根」である。 目を遠く飛ばすようにしてじっと聴き入るFさんが、聞き終わってから短く 、いいわと応えてくれる。 ホテルにチェックインするというFさんを一旦送り、夜は北海道らしいものを 食べたいという希望を叶えるべくみんなに相談した。 あいにく日曜日で休みのところも多く結局はFさんの宿にも近い駅地下に する。 午後7時閉廊近く旭川から札幌の友人結婚式帰り立ちに寄ったTさんを誘い Fさんと3人で、札幌駅の地下街へ向かう。 TさんとFさんは初対面だったが、同世代の事もありすぐに打ち解け、 野上さんの作品の事、ムラギシの追憶で話は深まった。 今回の展示を見るためだけにここまで来てくれたFさんの行為には、 明らかに今も生きているムラギシの記憶がある。 野上さんの作品にもその記憶が生きていて、その記憶の重なりがFさんを ここまで呼んだのである。 <撓む指は羽根> 心の指は今も撓(たわ)み、羽根の根となって、この日の時間となった。 野上さんが札幌滞在中最後に縫った大きなグローブのような手の鳥。 この作品が、きっとFさんを招き寄せたのだろう。 心の根を縫う、優しく激しい心熱い人たちである。 野上さん、 またひとつ、 心の羽が根を縫った。 いい展覧会だぜ。 *野上裕之展「鳥を放つ」-1月16日(日)まで。 am11時ーpm7時。 *高臣大介ガラス「雪調(ゆきしらべ)」-2月1日(火)-6日(日) テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向 tel/fax011-737-5503
by kakiten
| 2011-01-11 12:43
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Comments(2)
わたしたちの演奏をFさんに聴いていただけてうれしいです。
ありがとうございました。
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有山さん>そう、とても喜んでくれましたよ。
さらなる曲の深化期待してます。 |
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