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2010年 12月 29日

里帰りの展示ー同時代の森(4)

定休日に届いていた吉増剛造さんのfaxに、<里帰りの展示>
という言葉があった。
同時に届いた現在浦和市うらわ美術館で開催中の
「これは本ではないーブックアートの広がり」展A3版百頁弱の
素晴らしいカタログ。
この中には若林奮さんほかとともに、吉増さんの銅板オブジェが43枚が
収録されている。
詩行の一節を銅板に打刻した懐かしい作品である。
’96年12月に前のスペースで「百葉/界川/宇宙函」展として
展示された事がある。
当時吉増さんの手元にあった銅板のすべてを展示したのだ。
それが百葉の意味である。
それからさらに銅板は増え、もう何枚になっているのだろう。
掲載の中には初めて見る銅板もある。
この銅板たちを来年<里帰り>の展示をして見たいというのが、
今回届いた吉増さんの意向である。
そして昨日朝一番に訪ねてくれた美術館のK氏が持参したフライヤーは、
川俣正の来年早々に始る「北海道インプログレス」の案内だった。
その中で川俣正は、

 1983年に札幌の住宅地で行った「テトラハウス・326プロジェクト」を
 思い出しながら、20数年ぶりに北海道の地でアートプロジェクトを行う
 ことが可能かを、今回のトークとワークショップで探りたいと思ってます

と書いている。
これもある種の<里帰り>だなあと、思って読んでいた。
’80年代の川俣正、’90年代の吉増剛造とふたりの巨人が今また、
帰ってくる。
それは、<里帰り>と呼ぶ心の実家が札幌にあるという事でもある。
その実家はすでに廃屋となった実家であるのかも知れないが、
新たな故郷として私たちの今が、新年に向けて問われてある事は
間違いない事実なのだ。

展示中の野上裕之展「鳥を放つ」もまた、今一番新しい里帰り展である。
このふたりの巨樹の遠い時を隔てた里帰り展の情報。
それは明日尾道から帰郷する野上さんへの大きなはなむけ、
励ましとも思えるものだ。
そして帰省先の実家としての私たちを、叱咤し奮い立たせるものでもある。

*野上裕之展「鳥を放つ」-12月21日(火)-1月16日(日)
 am11時ーpm7時:月曜・元旦休廊。
*高臣大介ガラス展「雪調(ゆきしらべ)」ー2月1日ー6日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2010-12-29 13:06 | Comments(0)


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