アリヤマサンタとイマムラシズカなイブも過ぎて、
いよいよ歳末・師走も押し迫る。
昨日の道新夕刊に大きくルイス・ベーマーの記事が載っていた。
日本のリンゴ栽培の基礎をつくり、ワイン、ホップの基礎をつくったドイツ系
米国人である。
余市のリンゴのルーツを辿ってベーマーを発掘した余市出身の方が
ベーマー会を立上げ研究誌を昨年から発行している。
私は「札幌・緑の運河エルムゾーンを守る会」の署名活動の過程で
この会の方と知り合い、来年発行の3号に寄稿を依頼されている。
造園家でもあったルイス・ベーマーの残した庭が、エルムゾーンの一角
清華亭の庭でもあった事が縁である。
この後の庭には今も巨樹のエルムが立っている。
<夢の系譜>として、1960年代のなかがわ・つかさに至るまでの、
国籍を問わぬこの地で繰り広げられたthe republic of dreamsの
系譜を書いてみたい、そう思っている。
アメリカ的なものを追い求め、アメリカ的なものに頽廃しつつある現在、
真にその理念として夢の形であった<アメリカ>的なものを
見詰め直すいい機会と思っているのだ。
荒地の詩人鮎川信夫が戦後すぐに発表し、さらにその後封印した
長編詩「アメリカ」に後年付け加えられた深く印象的な詩行は、
今こそ時代の主調基音として重く響いている気がする。
「アメリカ・・・・」
もっと荘重に、もっと全人類のために
すべての人々の面前で語りたかった
反コロンブスはアメリカを発見せず
非ジェファーソンは独立宣言に署名しない
われわれのアメリカはまだ発見されていないと
この<反コロンブスはアメリカを発見せず・・・>以下の詩行は
初出から封印後20年を経て新たに加えられた詩行である。
この戦後間もない時期よりさらに遡った明治の初期に、この北の大地に
多くの若い米国人たちとともに若い日本人も描いた、国家を超えた夢の系譜
そこに、真の<アメリカ>が埋もれている。
そんな気持がするのである。
鮎川信夫がこの3行を付け加えた1960年代に、23歳のなかがわ・つかさ
が木田金次郎に触発され、北海道へと移住して来るのだ。
この夢の系譜こそが、今見失われている真に<アメリカ>的なるものの系譜
ではないのか。
*野上裕之展「鳥を放つ」ー12月21日(火)-1月16日(日)
am11時ーpm7時:月曜・元旦休廊。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503