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テンポラリー通信

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2010年 12月 25日

ふたりのサンター同時代の森(1)

クリスマスイブ前日の、
なにかおそろしく大きなサンタが来たような夜があって、
本当のイブは静かな一日だった。
吉増剛造さんとの熱い夜を思い出していると、ふと
「大病院脇に聳え立つ一本の巨樹への手紙」(中央公論社・昭和58年発行)
という彼の名詩集のタイトルが浮かんだ。
<同時代の森に聳え立つ一本の巨樹の年譜>
そんな連想である。
静かなイブの夕方に、有山睦さんがお酒を持って訪ねて来る。
野上さんの「i・NU」の前足の指を見て、いいなあと呟く。
さすがドラムを叩く人である。
指先に神経がいく。
しっかりと大地を踏みしめるかのような2本の前足。
その指先に力がある。
そして高く首筋を伸ばし、上を見上げる顔。
その視線の先に飛ぶ丸い鳥の群れ。
正面の顔を見て、野上さんにそっくりと言った人がいた。
吉増剛造さんも今回の作品を見て、いいねと言ってくれたのを思い出した。
芳名録にもサインを残してくれたが、これもあまりない事である。
親友だった彫刻家若林奮はじめ砂澤ビッキと多くの美術家との親交のあった
だけに、美術にも造詣が深い人である。

奥の談話室で有山さん持参のお酒を熱燗にして飲む。
遅れてギター奏者で歌手の今村しずかさんも来て、3人のイブが始った。
ふたりは岡部亮の置いてある「種子」の彫刻も触り、その感触を楽しんでいる。
野上さんの作品もそうだが、彫刻の作品は触れるのがいい。
特に木の彫刻は、暖かく柔らかである。
静かだったクリスマスイブは、こうして有山サンタさんがお酒を持って現われ
穏やかで暖かいイブとなったのだ。

+野上裕之展「鳥を放つ」-12月21日(火)-1月16日(日)
 am11時ーpm7時:月曜・元旦休廊。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2010-12-25 12:34 | Comments(0)


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