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テンポラリー通信

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2010年 12月 23日

オーノな夜ー夢の系譜(25)

小樽美術館の仕事で来道中の吉増剛造さんから電話があったのは、
3日前である。
22日の夕方来廊を約束する。
今度ゆっくり会おうと約束したのは、9月パルコの森山大道展でお会いした
時だった。
その後渾身のご自身の年譜「裸のメモ」(「木浦通信」(矢立出版)が出版され、
まるで本人ご自身の書いた経帷子のようですと感想を送った。
その年譜1989年10月の章に、拙文を書かせて頂いている。
「’89アートイヴェント イン界川游行」での関わりで、吉増さんの人生の
縦糸に絡む横糸のように織り込ませて頂いたのである。
他にも何人かが札幌関係で横糸のように書かれていて、今回はそのお礼
行脚かなと思っていた。
それにしても現在地に移転してからは、ゆっくりと夕刻に前もって決めて
訪問されるこ事は滅多にないので、緊張した。
なにかおもてなしをと考え、大野一雄石狩河口公演前夜祭大野ー吉増対談
のヴィデオを探す事にした。
この時の対話は、後に出版されたかりん舎の公演記録集にも収録されて
いない幻の対談である。
ヴィデオの映像はあったが、音声がほとんど聞き取れず断念した経緯が
ある。
もう一度見てみようと思い、ヴィデオテープの入った段ボールを探す。
するともう一本、薄く能量寺とだけ書かれたヴィデオが出てきた。
川俣さんという方の撮った映像である。
これは撮影者がせわしなくたえず動き周り、記録としてどうかと思い
打ち捨てていた記憶がある。
とりあえず再生してみると、20年近い歳月にもかかわらず、テープの劣化も
なく活き活きと当時の光景が甦る。
撮影位置の動きも逆に会場の臨場感を高めていて新鮮である。
これは吉増さん喜ぶぞと思った。
当時86歳の大野一雄が活き活きと甦えって、語り、踊るのである。
ちょうど来た歌人の山田航さんが、吉増さんも若いと、声を上げた。
吉増さん訪問の前日の事である。
当日昼に東京の詩人文月悠光さんからメールが届く。
早めに札幌に帰省するので26日に大塚軟膏くんと訪ねたいとの事だった。
折り返し今夕吉増さん来るので残念だねと返事を送った。
すると実は今日が帰省日で、夕方千歳空港から直行しますと返事が届く。
大学入学前の今年3月、ここで大野さんの石狩の映像を見て感動し詩に書き
その詩が現代詩手帖の文月悠光特集の吉増ー文月往復書簡の主たるテーマ
ともなっている。
これはここでふたり会えば、吉増さんも喜ぶわと思った。
約束の6時吉増さんが時間通り来訪し、暫しふたりで種々話す。
そしてお見せした石狩前夜祭の映像に吉増さんは驚愕し喜ぶ。
その後空港直行の文月さんも来て、大塚くんと山田航さんも見えて
話は盛り上がった。
若く優秀な表現者に囲まれ気をよくしたのか、こんなにご機嫌にお酒を
飲む吉増さんを見た事がない。
20年ぶりに甦った大野一雄前夜祭映像の流れたこの日、
間違いもなくオーノさんも来て、この映像の年産まれた文月さんも呼び寄せ
ご一緒してくれていた、と思える奇跡的な夜だった。

*野上裕之展「鳥を放つ」-12月21日(火)-1月16日(日)
 am11時ーpm7時:月曜・元旦休廊。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2010-12-23 14:22 | Comments(0)


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