一気に冷え込む。日中も零下の世界。
岡部亮展搬出も終わり、次回尾道の野上裕之展「鳥を放つ」まで休廊。
尾道で船大工をしている野上さんの年一回の個展である。
今年入籍し、新たな人生の船出となる。
作品は16日尾道発送で、18日到着の予定。
本人は年末ぎりぎりに帰省、正月3日尾道へ戻る。
作家不在でも、展示には指示書が送られてくるので、
何とかいい展示を心掛けたい。
網走で漁師を営む佐々木恒雄さんにも年明けの個展の打診をする。
尾道で船大工をする野上さん共々、現代の木田金次郎のように
頑張って欲しい。
岡部亮さんの故郷を見詰める彫刻家の眼は、北広島の台地丘陵を彫り込み
それらをあたかも身体の一部のように歯や豆の莢の彫刻として、掌中のリアル
に再生した。
囲繞する自然・社会環境を対自化し、新たなリアルとして作品化したのである。
こうした与件的日常と切り結ぶ、作品世界の個的闘いこそが作家を作家
足らしめる精神なのだと私は思う。
野上さんや佐々木さんのように、都市生活よりより直接的な生活環境の
葛藤の中から、如何なるリアル作品が生まれてくるのか、
待望する気持が深く湧き上がってくるのだ。
日章堂印房の酒井博史さんが入院したと昨夜連絡がある。
年賀状を届けてくれた時の、少し虚ろな眼差しが気になってはいた。
活版印刷・印鑑刻字の職人・文才・明敏な頭脳・歌唱力と多くの
優れた才能をもつ人間なのに、残念である。
いろんな悩みがあるのだろうが、野上さん、佐々木さん、岡部さんに
負けないで頑張って欲しい。
みな同じ境遇・環境ではないが、志の立つ磁場は同じではないのか。
好漢の一日も早い回復を祈るのである。
*野上裕之展「鳥を放つ」-12月21日(火)ー1月16日(日)
am11時ーpm7時:月曜・元旦休廊。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503