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テンポラリー通信

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2010年 12月 15日

零度下の風景ー夢の系譜(18)

一気に冷え込む。日中も零下の世界。
岡部亮展搬出も終わり、次回尾道の野上裕之展「鳥を放つ」まで休廊。
尾道で船大工をしている野上さんの年一回の個展である。
今年入籍し、新たな人生の船出となる。
作品は16日尾道発送で、18日到着の予定。
本人は年末ぎりぎりに帰省、正月3日尾道へ戻る。
作家不在でも、展示には指示書が送られてくるので、
何とかいい展示を心掛けたい。
網走で漁師を営む佐々木恒雄さんにも年明けの個展の打診をする。
尾道で船大工をする野上さん共々、現代の木田金次郎のように
頑張って欲しい。
岡部亮さんの故郷を見詰める彫刻家の眼は、北広島の台地丘陵を彫り込み
それらをあたかも身体の一部のように歯や豆の莢の彫刻として、掌中のリアル
に再生した。
囲繞する自然・社会環境を対自化し、新たなリアルとして作品化したのである。
こうした与件的日常と切り結ぶ、作品世界の個的闘いこそが作家を作家
足らしめる精神なのだと私は思う。
野上さんや佐々木さんのように、都市生活よりより直接的な生活環境の
葛藤の中から、如何なるリアル作品が生まれてくるのか、
待望する気持が深く湧き上がってくるのだ。

日章堂印房の酒井博史さんが入院したと昨夜連絡がある。
年賀状を届けてくれた時の、少し虚ろな眼差しが気になってはいた。
活版印刷・印鑑刻字の職人・文才・明敏な頭脳・歌唱力と多くの
優れた才能をもつ人間なのに、残念である。
いろんな悩みがあるのだろうが、野上さん、佐々木さん、岡部さんに
負けないで頑張って欲しい。
みな同じ境遇・環境ではないが、志の立つ磁場は同じではないのか。
好漢の一日も早い回復を祈るのである。

*野上裕之展「鳥を放つ」-12月21日(火)ー1月16日(日)
 am11時ーpm7時:月曜・元旦休廊。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2010-12-15 14:32 | Comments(3)
Commented at 2010-12-15 21:58
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ken/aya at 2010-12-16 08:26
実と豆すごい。さすが岡部さん。フォトテンポラリーをみました。あれだけの造形力、表現力はこちらではみられません。小品でこれだけみせてくれるのであれば、大きくつくったらどうなっちゃうのでしょう。これからも岡部さんの新しい彫刻をたのしみに待ちます。
そして作家として一番大切なことをぼくに教えてくれている気もします。
ちなみにあやちゃんは歯シリーズの大大ファンです。

Commented by kakiten at 2010-12-16 11:52
ケン/アヤさん>ありがとう、岡部亮さんにとっても大きな励まし
となるとお思います。小さな作品ですが、ぎっしりと凝縮した
作家の思いが詰まっていました。拙文では充分に伝えられない
のが残念だっただけに、私も嬉しいです。
ダンケシエーン!


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