人気ブログランキング |

テンポラリー通信

kakiten.exblog.jp
ブログトップ
2010年 11月 30日

白い大地ー夢の系譜(5)

一気に天地が白くなる。
真っ白なキャンバスのような世界が広がる。
百四十年ほど前、この白い大地に夢を描いた異邦人たちの
夢の痕を辿れば、きっと彼らの心の中にもこんな大地が
広がっていたに違いない。
そこには薩摩人村橋久成も、米国人ルイス・ベーマーにもあった
見えない歴史の夢の<fromとto>がある。
西村英樹著「夢のサムライ」に、ルイス・ボーマーの名で日高・沙流郡で
野生のホップを発見したと記されている人物は、現在ルイス・ベーマーと
して余市のリンゴの生みの親として注目されている人である。
このベーマーの功績を発掘し研究する為に、2009年「ベーマー会」が
余市のリンゴのルーツを探る中から生まれた。
この会の存在を私は、「札幌・緑の運河エルムゾーンを守る会」を立上げ
展開していく中で知り、ベーマーが造園家として清華亭庭園、豊平館庭園等
の優れた庭園を遺した事も併せて知ったのである。
薩摩人村橋久成の札幌麦酒に賭けた情熱も、このベーマーのホップの
存在がなければ叶わなかったに違いない。
この時代の夢の形には、外国人・本州人を問わぬ若い人間の夢の力が真っ白
なキャンバスの最初の鮮やかな筆跡のように、この大地に描かれている。
後に有名なクラーク、ケプロン、ブラキストン、イザベラ・バード以外にも
こうした無名の若い異邦人の姿が、歴史の最初の<from>に隠されている。
社会構造がいまだ固まらぬこの時代には、洋の東西を問わぬ<from>が
自然の濃い大地に印されているのだ。
そして開拓使の時代の終わりと共に、より強固な明治の国家体制社会が
確立すると共に、夢の<from>は村橋久成の出奔のように消えていく。
しかし一旦消えたかに見えたこの夢の土壌は、百年を超えた昭和30年代に
有島武郎ー木田金次郎ーなかがわ・つかさの系譜として消えずに続き、
かつベーマー会としてもその地熱は冷めずに繋がっていると私は考える
のである。

<歴史は、fromとtoを内包している>(西村英樹)

この言葉の保つ真の<from>の発掘から、その当初の夢が孕んでいた
真の<to>の方向を見極める努力が今最も私たちに必要な時代と思われる。

今日から岡部亮展が始る。
7年の沈黙を経て、小さな一歩が印された。
新作の豆の莢のような、細長い彫刻作品がいい。
これもまた彫刻家岡部亮の<to>を指し示す、新たな<from>の始まり
と思える。
会期中も仕上げ途中の作品は、作り続けられるという。
新作豆本とともに、雪の朝個展が始った。


*岡部亮展withシミー書房「詩の本と彫刻」-11月30日(火)-12月12日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休。
*野上裕之彫刻展ー12月21日(火)-1月16日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax-11-737-5503

by kakiten | 2010-11-30 13:30 | Comments(0)


<< 内包しようとする物ー夢の系譜(6)      バックミラーという歴史ー夢の系... >>