壁の蔦に残る実にカラスが二羽、三羽と群れ、音立てて
枝葉を散らす。
11月も半ばを過ぎ、室内も室外も荒涼たる冷気が漂う。
今年11月は母の13回忌だったが、特別な事もせず
ひとり仏壇に手を合わせた。
兄弟もバラバラで、みんな遠くなった。
父の命日も11月。
11月は、私には死者の匂いがする。
茨城にいる妹に電話すると、命日を覚えていて、
良い思い出はない11月と応えた。
もうひとりの水戸にいる上の妹は、旦那の介護で病院に行き留守だった。
長い介護生活で毎日病院通いで大変と聞く。
時々小荷物を送ってくれるのだが、それは佃煮とパンツの詰め合わせだったり
、時に干し芋がどっさり送られてきて、困惑する事もある。
東京の学生時代、母親からもよく小荷物が送られてきたが、その中身は
細やかで色んな物が入っていた記憶がある。
その頃付き合っていた彼女は、チョコレートとか可愛らしい甘い物を札幌から
手紙と共に送ってくれた。
母親、妹、彼女で、それぞれ送る物が違う。
きっとそれは愛情の角度の違いである。
死者を思う時も、同じようにそれぞれに角度がある。
11月は私には死者の季節で、一原有徳追悼展をしながらも他の多くの
死者が訪れてくる。
夏と冬の界(さかい)の世界は、生と死の界(さかい)でもあるようだ。
*一原有徳追悼展ー11月17日(水)-26日(金)am11時ーpm7時。
月曜定休:協力かりん舎・中川潤。
:及川恒平ライブ「まだあたたかい悲しみ」-11月23日(祝)午後4時~
予約2500円当日3000円。
*岡部亮展withシミー書房「詩の本と彫刻」-11月30日(火)-12月12日(日)
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503