分厚い「さっぽろ・昭和30年代ーなかがわ・つかさが見た熱き時代」
カタログテキストに目を通しながら、髭面のなかがわ・つかさの夢を見た。
実年齢を10歳も偽り、23歳の青年は髭のマスクを蓄え北の10年を走り去った。
木田金次郎の生き方と画業に感動し、茨城県から来道し北への夢を燃やし
続けたこの青年の10年とはなんであったのか。
その志を熱く検証し語る展覧会企画者吉崎元章さんの文に深く啓発され、
読みつつ眠ったのだ。
髭のマスクは、若年を侮られる事への防御であっただろう。
その批評は寸鉄を帯びず今に繋がる鋭い視点を保っている。
某公募展の一般出品者を区別し展示場所を冷遇し、さらに特定会員のみ
作品写真を掲載したカタログ販売を、特権主義と批判し論争を繰り広げた
事実などは、ごく最近の某展覧会にも見られた現象である。
個から発する表現の行為に忍び寄る数による群れる権威主義の影。
美術団体の使命は美術運動にあり、主張の無個性が個性とは何たることと
その目的意識、志の希薄さを撃つ姿勢は、形を変え今も変わらず通底する
ものがある。
こうした、在野の忘れ去れた優れたキャッチャーでもある一批評家の存在を、
半世紀近く隔てた今発掘し再評価する展覧会を開いた企画力に、深く感謝
するのである。
昨夜の夢の中で髭面マスクの、実は若いなかがわ・つかさが、笑顔も見せず
ただ黙って横にいたのだ。
そのマスクの下の深い孤独に付き合っていたような夢であった。
毎日朝から顔を合わせている佐佐木方斎の髭面に、実はその顔が
重なっていたのかも知れないと、ふと今思うのである。
佐佐木方斎展「逆絵画」もあと一日。
何層にも塗りこめた白い画布から、ダイヤ形の方形の一色が切り込みのよう
に顕われて、これはこれで佐佐木方斎の内から覗いた、なかがわ・つかさ
の眼の色のようにも思えるのだ。
*佐佐木方斎展「逆絵画」-11月14日(日)まで。
am11時ーpm7時。
*一原有徳追悼展ー11月17日(水)-26日(金)
:協力・かりん舎・中川潤。
*岡部亮展ー11月30日(火)-12月12日(日)
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax-011-737-5503