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テンポラリー通信

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2010年 11月 06日

純絵画ーNovember step(9)

佐佐木方斎さんの原点のような、2006年「格子群」の展示に始まり、
今まで5年4回の作品展を連続してきた。
この間佐佐木さん自身が病床から立ち上がり、
開廊と同時に会場に来るまでに回復した。
2006年の個展は「格子群」、2008年は「メタ絵画」、
2009年は「メタレリーフ」そして今回の「逆絵画」である。
2006年「格子群」展示時はまだ病床で、翌年もそれは続いていた。
この展示は旧作の展示ではあったが,同時に方斎編集「美術ノート」全10巻、
現代作家展カタログ資料、1990年の「アートドキュメント」カタログ及び
オリジナル版画集と、彼の’70’80年代の軌跡をすべて網羅した展示
でもあった。
この展示が作家の気力を奮い起こす起爆剤になったかと、今思う。
さらにこの展示資料は’、80年代以降に生まれた若い作家たちに深い刺激
と強い関心をも与えた。
この総括的な展示以降、自宅に埋もれていた未発表作品を、続けて発表し、
今年の新作「逆絵画」展となった。
今朝今までのタイトルを上げて、次なる個展のタイトルをそれとなく聞くと、
返ってきた応えが、「純絵画」という答えだった。
久し振りに聞く、なんか懐かしいような響きがこのタイトルにはあった。
純喫茶とか<純>という響きには、遠い時代の匂いがする。
それはレトロな意味だけではなく、すべての分野において<純>だった
原点のような響きがある。
アートというふやけた呼称で括られる現在の状況の対極に、
<純絵画>という響きがある気がした。
横軸で世界を横断するようなマルチでグローバルな時代に対峙する、
垂直な軸心の矛先がこの<純>という言葉には響いている。
佐佐木方斎の初期の「格子群」は、その<純>に至る捨象から成立した
表象世界である。
直線と単色から構成されたこの作品群は、今見ていささかも古びてはいない。
直線が切り落とした余剰を集め再構成した、色彩の乱舞「余剰群」。
それらの色彩を閉曲線の内に封印する事で、逆に開かれる「自由群」の
色彩凝縮。
これらの画業はすべて、純粋形象への飽くなき追求から生まれたものである。
この3部作以降、真っ白に塗り篭められ封印された純粋無のような「メタ絵画」
、放棄された新建材の天井板シーリングボードを彩色し構成した「メタレリーフ」
。この作品は新建材という使い捨ての素材に刻まれた格子模様を利用し、
産業廃棄物を見事に新たな「格子群」のように再生させた、’90年代後半の
作品である。未発表のまま倉庫に眠っていたのだ。
今展示中の「逆絵画」は、白く塗り篭められた「メタ絵画」の中央に一点、
単色の色彩が斜め方形のダイヤ形で顕われる。
この単色は、初期の「格子群」の色彩であると思える。
この一点色が顕われたという事は、多分佐佐木方斎の原点回帰、新たな
<純絵画>への一点鐘の響きでもあるだろう。
今朝、佐佐木方斎が次なる個展タイトルを、「純絵画」とぽつりと呟いたのを
、私はその裏づけ・展開のように聞いていたのだ。
純文学・純音楽・純彫刻・純絵画・純写真・・・していますか。
メークアートのみなさん。

*佐佐木方斎展「逆絵画」-11月2日(火)ー14日(日)am11時ーpm7時。
 月曜定休・休廊。
*一原有徳追悼展ー11月17日(水)-26日(金)
 :企画協力・かりん舎。
*及川恒平ライブ「まだあたたかい悲しみ」-11月23日(祝)午後4時~
 :予約2500円・当日3000円。
*岡部亮彫刻展ー11月30日(火)-12月12日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2010-11-06 12:42 | Comments(0)


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