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テンポラリー通信

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2010年 10月 16日

空を耕すー秋のフーガ(11)

秋は喨々と空に鳴り、空は水色、鳥が飛び・・(高村光太郎)

晴天である。
昨日は一日曇・雨で、暗く寒い日だった。
会場に人の姿が見えず、山田航さんと奥でぼそぼそと終日話していた。
人は来なかったが、今回の展示で広がった博物の世界は実に示唆に
富んでいる。
木野田君公さんの「札幌の昆虫」により広がった虫の美しいミクロの世界。
そして今回協力頂いた札幌市博物館活動センター。
そこ発行の小冊子「さっぽろ時空探検」に記載された札幌の大地の生成。
この小さな啓蒙解説書に、以前恵庭のアイヌ語名で触れたポロヌプリが、
さらっと図解で載っていたのだ。
札幌南部の俯瞰写真に恵庭岳と不風死岳が左右に写って、その間を
大きな山が線で描かれていた。
そこに吹き出しで囲まれた解説が、さり気なく記されている。
<かって、支笏湖は支笏火山だった。今の恵庭岳と不風氏岳の間から、
こんな風にみえていたのかもしれない。>
さらにその下の地質解説には、支笏溶結凝灰岩の文字がある。
これは、噴火し堆積したかっての支笏火山の石の事である。
通称札幌軟石である。
近代札幌を代表する建築素材のひとつが、この石材である。
幻の大山(ポロヌプリ)の遺産なのだ。
昆虫に発した今回の展覧会が、次なるテーマ土・石を素材とする
世界へと広がっているのを感じた瞬間である。
sapporo cultivateシリーズとして毎年展開する構想が湧く。
人間社会を取り巻く自然環境としてのさっぽろを、根っ子から見直し
再生する本来のmuseumの意に立つテーマである。
美術館を意味するmuseumは、本来博物館と同義に含まれる。
というか、博物館が元義であって、そこから派生した語である。
さらにギリシア語の神殿ミューズに遡る。
バシュラールの「物質的想像力」という概念を借りるなら、
地・水・火・風の根源的物質が人間の想像力の源泉にある。
今回の昆虫展を通して、<地>の概念へと主題は深まってきた感
がするのである。
そうした本質的なカルチヴェートの視座を深めつつ、この展覧会は
第一週の週末を迎える。

*昆テンポラリー展「札幌の昆虫を素材にして」-10月12日(火)-24日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休。
 :谷口顕一郎・森本めぐみ(美術)・河田雅文(会場構成・映像)山田航(短歌)
  文月悠光(現代詩)。
 :素材提供・木野田君公「札幌の昆虫」(北海道大学出版会)
 :企画・熊谷直樹
 :企画協力・札幌市博物館活動センター・テンポラリースペース。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2010-10-16 12:11 | Comments(0)


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