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テンポラリー通信

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2010年 09月 26日

ひとつの結晶のようにー谷口顕一郎展(8)

谷口展が始って、サッカーゲームのように人の出会いの球が周る。
新旧縁ある人が交叉する。
作品空間が球のように、人と人の間を繋ぎ、送られ、また転位する。
それはジャンルではない。
何かに触れて、何かが動くのだ。
そこに直接の作品批評がある訳ではない。
谷口顕一郎さんや私が生きてきた時間の重なる処に人がいて、
人にはその人の生きてきた大切な時間があり、それが逢う事で
解(ほど)け、開く。
だからジャンルではない。人それぞれの領域が、展覧会に来る事で
開かれ、語られ、交錯するのである。
多分ジャンルの枝葉の根の処で、再会し触れている。
当然同じ美術の友人もいるのだが、それぞれの現在は一様ではない。
谷口さん個人なら否定的な場を選んで再起の個展を東京で考える人も
いる。しかし、そこが問題になる事はない。そこが前面に出る事はない。
10年ぶりの再会には、互いの現在は大きく相違している。
その相違を超えて会う土壌がある。
旧友と一言では済まされない何かがある。
ジャンルだけに相違がある訳ではない。
人はみな違うのである。
その違いが違いとして、同じではないけれど理解出来得る土壌を
友情というと思う。
古仲間、悪友、さらにはもっと縁遠い知人たち。
生きている場も仕事も違い、年齢も立場も違うのだが、何か触れてくる。
そうした今回の個展を核とする交流・交錯のひとつの結晶が今夜ある。
今回新たに結成されたジャズグループ「shape of yellow」のライブ
である。
ギター・ヴォーカル・古館賢治、今村しずか。SAX須田裕之、中西弘行。
ベース・本間洋佑。ドラム・有山睦の6人が揃う。
この日の為に結成されたこのグループはまだ一度しか一緒に演奏を
していないと聞く。
先日某ライブハウスで実際にその演奏を聞いたK氏は、涙が出て
止まらなかったと言った。
特にムラギシの遺作「撓む指は羽根」の演奏は絶品であったという。
このグループは一部の人が重なりながらも、本来は別のグループである。
ジャンルもフォークとモダンジャズと違う。
それが今回新たに集結したのは、この場と谷口顕一郎への友情の
所為である。
曲目もそうした意志から構成されている。
この決して広くはない空間に6人の演奏者と聞き手が作品を囲み集れば、
もうその後の展開は見えてくる。
渦である。
この渦はさまざまな個々の相違を超えて、音としてこの場に結晶する何か
と思うのだ。

*谷口顕一郎展「凹みスタデイ♯9」-9月21日(火)-10月3日(日)
 am11時ーom7時;月曜定休・休廊。

 テンポライリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2010-09-26 12:25 | Comments(0)


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