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テンポラリー通信

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2010年 09月 11日

ジャズ友ーハルニレの羽(26)

一週間以上森を歩いていないと、森が恋しくなる。
最近歩き足りないと感じている。
地下鉄や車に乗ると、五感の広がりが削がれて直線的になる。

釧路に帰省していた教育大1年生瀬戸策謙くんが来る。
お祖母さんが帰省中に亡くなられてずっと釧路に居て、
今札幌に着いたという。
初の夏休みも、これまで祖母の病気、葬式、弔い客の応対で過ぎた。
なにはともあれ札幌に着き真っ直ぐここに来た。
西田卓司展を見てから、マイルス・デービスの演奏に体と手を合わせ
リズムをとる。
ジャズ青年でもある彼は、西田作品とジャズに敏感に反応している。
8月、同じ新大学生の文月悠光さん、大塚卓人くん、チヒロさんと
会えなかった事が残念だという。
大塚くんもチヒロさんもジャズをしていて、私は3人を一度会せたかったのだ。
近い将来文月トリオとして、演奏デビューを目論んでいる。
まだ一度も他の3人に会っていない瀬戸くんは、今夏3人に会えるのを
楽しみにしていたのだ。
ジャズをしているこの3人は、目の感じが似ている。
ひょっこりひょうたん眼(まなこ)である。
文月さんは違うから、リーダー兼マネージャーであるだろう。
これは私の勝手な判断で、本人たちはどう思うか分からないけれど、
とりあえず互いに興味を抱いているらしい事は間違いない。
何故この新一年生が偶然にせよ今ジャズなのか。
彼らの無意識なアメリカ的なものに興味が惹かれる。
西田さんの絵画世界にもその事を色濃く感じる。
彼らの親しい友人同士の呼び方にも、アメリカを感じている。
苗字ではなく、ファーストネーム的呼び方だからだ。
例えばキッツとかアッキーとかいう類である。
我々の頃は、苗字を呼び捨てにするのが一般的だった。
名前を直接呼ぶ時は、もっと幼い時で何とかちゃんという呼び方だった。
今は英語的に省略して愛称のような呼び方をしている。
これもある種のアメリカではないか。
そうした若者バリバリの10代後半の人たちが、ジャズに心惹かれる。
ますますアメリカ的何かと思えるのだ。
そして彼らが惹かれるジャズとは、より原点的なアメリカではないのか。
アメリカ的日常環境で育った世代が、さらにそれ以前のアメリカを
欲していると思える。
それは自分の生きている環境社会への無意識の自己確認作業ではないか、
そのように思えるのだ。
私自身がこの札幌を考える時、必然的にこの地に印された初期アメリカを意識
しているので、アクセスの相違こそあれ彼らに見え隠れするアメリカ的なる
ものに同時代的興味を覚えるのだ。
ある一面といえばそれまでだが、ただそれだけではない深い欲求のような
ものをその基底に感じてもいる。

瀬戸くんとスタンダードなジャズ演奏をともに口ずさみながら、西田展会場
はいい感じでソニーローリンズやキャノンボールアダレーで満たされた。
久し振りにジャズだけに浸れる時間が過ぎる。

*西田卓司展「ワーキングフロー」-9月12日(日)まで。
 am11時ーpm7時。
*谷口顕一郎展ー9月21日(火)-10月3日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2010-09-11 13:34 | Comments(0)


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