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テンポラリー通信

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2010年 09月 09日

アメリカ的アメリカーハルニレの羽(24)

暖かく、秋晴れ。
手稲山の稜線が青空にくっきりと見える。
雲もなく青と緑。
澄んだ空気にマイルス・デービスのトランペットが似合う。
西田卓司展もあと3日。
アメリカ的物質主義の乾いた質感。
彼の好きなハニーローストピーナッツも、made in USAである。
私たちが今署名活動を進めている「札幌・緑の運河エルムゾーンを守る会」
、このゾーンに広がる建物風景もまた、アメリカ的である。
北大第二農場のモデルバーン、清華亭、北大キャンパスの近代洋館
札幌の都市建設に関わった外国人はクラーク博士初めアメリカ人が多い。
まだ建国から若かったアメリカの夢のかたちが、札幌の近代風景に反映
されている。
多国籍民族国家であるアメリカ。
その根幹にあるひとつは、物質主義への浪漫・夢である。
United State of Americaは、同時に人類の夢の形・アメリカ、
United Dreams of Americaとも言い換えられる。
その夢の形の具現化は、建国後デイズニーランドという独自な娯楽の国
(遊びの夢・ランド)を創り、買い物の夢の国・大規模なショッピングセンター
を創った。
他の国にはない独特のアメリカ的形態である。
その系譜はアンデイーウオホールのコカコーラ、キャンベルスープ缶にも
続くと思える。
自然の風景、静物、人物の近代絵画モチーフから、大量消費の商品物
モチーフへの視座の転換。
その視線の根に、物質主義の浪漫・夢を孕んだアメリカ的アメリカがある。
西田卓司の世界には、情報すら物質化して漂う現代のアメリカ的爛熟が
基本にあり、アメリカ創成期に色濃い夢(ドリーム)への触感は希薄と思える。
それは現在のアメリカそのものの現状の反映でもあるが、創生期のUnited
of と結ばれる<ドリーム>の存在を、もう少し根底から見詰める今を感じて
欲しい気がする。
西田の住む札幌の根風景には、その<ドリーム・夢>の形が破壊されつつも
在るからである。
若い日本のエリートと若いアメリカの学究たちが根付かせた夢の形。
それが「札幌・緑の運河エルムゾーン」には、在るのだ。
この夢の形の再構成・再生こそが、現代の我々の担う<アメリカ>的なる
ものと、私は思う。
西田卓司に求めるもの、それはアメリカ的なるものの根を如何に
現代の根として、表現のコアにし得るかという事である。
開拓百余年の札幌においてしかできないリアルというものがある。
より彼の感じる<アメリカ>を遡り、源流の飛瀑を浴びる事。
そう思うのだが・・。

*西田卓司展「ワーキングフロー」-9月12日(日)まで。
 am11時ーpm7時。
*谷口顕一郎展ー9月21日(火)ー10月3日(日)
*昆テポラリー展「札幌の昆虫を素材に」-10月12日(火)-24日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2010-09-09 12:22 | Comments(0)


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