テンポラリー通信

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2010年 09月 04日

命の湖ーハルニレの羽(20)

昨日は一日雨。
その所為か今朝は、番(つがい)の蜻蛉が水溜りを求めて飛んでいる。
命を紡ぐ束の間の水溜り。風爽やかに吹き、青空。
久し振りに秋を感じる。
9月まだ真夏が続くと、TVのニュースが伝えている。
道東沖で鮭の定置網にマグロが大量に捕れたと、道新夕刊トップ記事。
カツオも捕れたと、海水温度上昇を伝える。
秋刀魚と鮭は遠く離れ、南の魚が回遊する。
百何十年ぶりの高温という。
そんな中、今朝の風は心地よい爽秋の気配がする。

昨夕今Mギヤラリーで個展中の神内康年さんが、訪ねて来る。
京都在住の作家で、1991年に前のスペースで個展を開いている。
一昨年久し振りに再会し、旧交を暖めた。
先日見えた東京の写真家大久保利香さんが、神内さんと一緒に来ている
人を知っていて、帰京前に会場を訪ね私の話もしたという。
そんなこともあって急に会いたくなったのだろう。
私もいずれ会期中に訪ねる予定だったが、先に訪ねて来てくれ
驚き、嬉しかった。

夏帰省の訪問者は去り、秋の訪問者の気配がする。
番(つがい)の蜻蛉はやはり正直に、季節の使者なのかもしれない。

<命の源泉に戻って>と、大野一雄はいつもその舞踏の原点を
語っていた。
<命の源泉>ーその道程に、憧れの舞姫アルヘンチーナの再生があり、
十数年の戦地体験で死に別れた戦友への祈り・水母の踊りがあり、
母への追慕・私のお母さんがあり、そして父への回路・羆の踊りがあった。
現実に奪われ、喪われたものの再生の為、大野一雄の舞踏は
<命の源泉>に立ち戻り、再生の踊りを立ち上げていったと思える。
<父>への回路・カムチャッカへのみちゆきは、90歳を過ぎてなお
全力を駆けた<命の源泉>への最後の挑戦だったような気がする。

連結した番(つがい)の蜻蛉に、父・母の命の源泉を感じ、束の間の雨が
もたらした小さな湖に繋ぐ可憐さを、愛しくも哀れに感じるのだ。
大野先生の果たされなかった<カムチャツカ・みちゆき>は、
あたかもこの水溜りの小さな命再生の湖にも見えてくる。

*西田卓司展「ワーキングフロー」-9月12日(日)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休・休廊。
*谷口顕一郎展ー9月21日(火)-10月3日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2010-09-04 11:56 | Comments(0)


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