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テンポラリー通信

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2010年 08月 24日

情報の乾燥化日常ーハルニレの羽(10)

西田卓司展の2階吹き抜けは、数百枚の切り抜きのコラージュ・インスタレー
シヨンである。古今東西ありとあらゆる情報の切り抜きが貼られている。
このある種猥雑な空間はしかし、雑多ではあるが絶妙な空間構成を構築し
決して日常そのものの乱雑さではない。
見る位置を変え見渡せば、色々な情報の渦の日常現実を体感する。
対照的に1階に展示された作品は、90cm×90cmの木製パネル3点と
136cm×181cmの木製パネルの2点の計5点が並ぶ。
こちらは静謐な中にも凝縮された世界だ。
マイクロポップな日常が、猥雑なまま情報の氾濫のように溢れ、そこから
鯛焼きの鉄板のように押し固められた世界が、1階と2階の差異のように
してある。
木製パネルにアクリル絵の具の5点の作品名が、すべて「失われたタブロー」
というタイトルなのもその意味で象徴的である。
古今東西の情報の氾濫の中で生きる我々の、ある種情報麻痺した
ノシイカのような、乾燥物の世界の反映と言えるかも知れない。
多種多様な情報もまた乾燥珍味となって、現在を構成している。
西田卓司の世界には、生(なま)身の生臭さはない。
多分この乾燥感は、我々の日常そのものの保つ乾燥である。
生身を消しパックされた食品のように、情報もまた切れ切れのパックである。
そのパック化された情報を分解し、もう一度自分の手で鯛焼きのように、
ノシイカのようになめして、再生する。
そこに多分西田卓司の日常現実を凝視する方法論がある。
現実日常と同じ手法で再生するのである。
情報社会の与件を自らの手で再構成するラデイカリズムこそが、
彼の戦い方だと思える。
切れ切れの多彩な情報は、さらに作家によって乾燥化され干物化する。
それは<失われたタブロー>というタイトルで、一層干し固められ
凝縮したスープの固形物のようにパネル化される。

これからの会期中に、この固形スープは果たして如何なる潤いを
もって溶かされ、生身を再生するか。
そう作家は自らに問い、願ってもいるかと思うのである。

*西田卓司展「ワーキングフロー」-8月24日(火)-9月12日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休・休廊。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2010-08-24 14:57 | Comments(0)


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