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テンポラリー通信

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2010年 07月 23日

同時進行するトニカー森の記憶(13)

会場の壁補強、ペンキ塗りと唐牛さんの会場造りは着々と進む。
昨夜遅く竹本英樹さん撮影の写真50点も完成、搬入。
藤倉翼さんの8×10の大判カメラ撮影の1、8m×1,5m作品とは対照的に、
竹本作品は40cm×50cmの小品である。
被写体も藤倉さんは旧山下邸全景を真正面から撮っているのに比し、
竹本さんの目線は、室内外のデイテールにある。
これら竹本作品が50点1階鴨居の位置から2階吹き抜け壁に展開する。
額装仕上げは藤倉作品と同様焦げ茶の木製額縁に、鏡面のマットである。
これらの重量を支える為、新たに壁を補強し、白ペンキを塗っていく。
今週はその会場造りが続いているのだ。
唐牛さん自身の作品も、今朝ちらりとその姿を表わした。
一階床から吹き抜けを突き抜ける塔のような、木の彫刻である。
この立つ彫刻に、私は旧山下邸への思い、彼の祈りを感じた。
<立てる>、<奉(たてまつ)る>、は古来祈りの形でもあるからだ。
両手を合わせる、合掌の形である。
今月27日は、旧山下邸のオーナー山下トヨさんの祥月命日にあたるという。
山下さんの死後この美しい和洋折衷の民家は封鎖され、やがて処分され
る運命にある。
この民家が保っていた昭和の時間、そして庭に立つ一本の大樹。
これらが保っ空気・風景が、ここテンポラリースペースで再生される。
その為にこの家を記録した写真家の作品と共に、唐牛さんのこの家と
この家の死者の生きた時間を再生する創造空間が創出されるのだ。
タイトルの「REPUBLIC」には、そうした再生への想いが篭められている。

伊藤邸の1万mを超える原始林の面影を残す庭を保存し、伊藤緑地として
再生する「緑の運河ーエルムゾーンを守る会」の発足と同時進行のように
唐牛さんの旧山下邸再生の展示が進行している。
高層ビル化、都市化の埋め立て文明がこの街の風景を破壊していくなか、
如何にそのインフラの嵐に対峙し再生し得るか。
真に文化力としての、文化の根元が今問われているのだ。
かって北大生だったN氏は言う。
”ある日風もないのに突然構内のエルムの大木が倒れていました。
 あれは、地下水脈の切れたことによるものだったのでしょうか”
風もなくエルムを倒してはいけない。
この街は、地から泉として溢れる泉池(メム)の勢いをもうとうに喪ってきた
のかも知れないけれど、今もなお地中深く触手を伸ばし、見えない川、
地下水脈に触れているあの寡黙な緑の頭をした人類の古い友人たちの
、見えない命の水脈まで奪ってはならないのだ。

「札幌の緑の運河ーエルムゾーンを守る会」の現実的行動と、唐牛さん
の旧山下邸を偲ぶ「REPUBLIC」展は、その基奏低音(トニカ)を
ともにしながら、同時進行してゆくのである。

*唐牛幸史展「REPUBLIC」-7月27日(火)-8月15日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休・休廊。
*西田卓司展ー8月24日(火)-9月5日(日)
*谷口顕一郎展ー9月21日(火)-10月3日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2010-07-23 13:18 | Comments(2)
Commented by ことり at 2010-07-23 13:57
展示楽しみです!
Commented by kakiten at 2010-07-23 14:12
ことりさん>森には、ことりが似合いますよ。
楽しみにして、来て下さいな。


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