人気ブログランキング | 話題のタグを見る

テンポラリー通信

kakiten.exblog.jp
ブログトップ
2010年 07月 22日

燃えるー森の記憶(12)

昨夜は燃えた。
宇田川洋さんの所に集まる、山水会の方々。
それぞれ初めて会う人たちばかりだったが、人類学者、出版社、マスコミ、
大学の先生その他多種彩々の一癖も二癖もあるおっさんたち(失礼!)で、
大分突っ込まれたりもした。
同行してくれたK氏ふたりがいて、助かる。
彼らは関係職務を超え、市民として参加している。
その事を理解し初対面の我々を理解するのに、少々時間がかかった。
後は一瀉千里。
一気に盛り上がり署名活動の段取りまで話はいった。
後半お酒もまわり話もばらけてきたので、私は先に失礼する。
続いている唐牛さんの展示作業が気になっていたからである。
テンポラリーに帰ると、藤倉翼さんの大きな写真が額縁に設置され
床に置かれていた。
山下邸の道向こうからの全景である。
雪が積り夕暮れの翳と空が青い。
この1m以上ある大きな写真が、1・8m×1・5mの焦げ茶の額縁に
収まっている。
注目すべきは、マットが鏡である事だ。
白い雪に佇む山下邸の全景が青い空気に浮かび、鏡の中に浮いている。
これ自体が夢の中の風景のようであり、かつ繊細である。
見事なふたりのコラボレーシヨンと思う。
鏡に浮かせる写真という発想は、唐牛さんならではのものである。
その結果、藤倉翼さんの骨太な写真はある幻想化を遂げている。
見ていて見飽きない不思議な幻のようである。
まだ床に置き上から眺めているだっけだったが、これが壁に設置され
光を受け外界を映し出し、その中で山下邸の全景が宙に浮かぶように
輝くようにある時を想像すると、鳥肌が立つ思いがした。
さらに同サイズの庭の大木の写真が、今夜完成するという。
2階吹き抜け回廊には、竹本英樹さんの小さいサイズのやはり鏡マットの
額縁に入った作品50点が並ぶという。
大きな藤倉作品2点は、1階正面と左正面壁に飾られるというから
これがもう今回の肝、コアとなる。

札幌の緑の運河、エルムゾーンを守る会の小さな一歩。
その出発の会議と同時に、この夜唐牛展の展示一部を垣間見て、
昨夜は興奮してなかなか眠れなかった。
呼掛けの趣意書を早急に書き上げなければならない。
山下邸を思う気持ち、清華亭を思う気持ち、そこに寄り添うように存在する
ものは、森の記憶・樹の存在である。
多くの点在し、散在し、きれぎれにあるこの森の記憶を、
ゾーンとして点在から線在として、面として再生しなければならない。
そう思い火照る眠れぬ頭の中で、人間の古くからの友人緑の頭をした
人たちが、梢のざわめきのようにいつまでも囁くのである。

燃える夜だった。

*唐牛幸史展「REPUBLIC」-7月27日(火)-8月15日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休・休廊。
*西田卓司展ー8月24日(火)-9月5日(日)
*谷口顕一郎展ー9月21日(火)-10月3日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2010-07-22 13:35 | Comments(0)


<< 同時進行するトニカー森の記憶(13)      展示作業始るー森の記憶(11) >>