写真家の藤倉翼さんが来る。
文月悠光さんを撮った写真を頂く。
コダックのもう発売中止となった印画紙だそうだ。
東京へ行く前の不安と期待がその表情に出ている気がする。
艶消しの画面に、新緑が美しく若い女性の心が映える。
その後雑談に興じて、心の毒が抜ける。
午後森本めぐみさんが来る。
「なみなみとして、もつ」を2階吹き抜け正面に展示する。
その吹き抜けの1階真下には、大野一雄の「石狩の鼻曲がり」の
デッサンが譜面台に置いてある。
あの時の夕陽の写真も添えた。
1階正面壁は、ラ・アルヘンチーナ頌の舞台ポスターが並ぶ。
艶やかなアルヘンチーナの笑顔に、大野先生が小さく胎児のように踊っている。
さらに南窓際には、多くの資料ファイルとともに、そっとカムチャッカの案内本を
置いた。頁は開いて、羆と紅鮭の写真が拡がる。
北側の壁には大野慶人さんとの共演ポスター「睡蓮」外を展示。
題名の文字が、中川幸夫、郡司正勝、緒方拳と多彩で力強い。
その前に石狩河口公演時の先生直筆の舞台スケッチを広げる。
赤と緑のマジックインクが、生々しく艶っぽい。
2月と同じ資料だが、今回は展示構成を変え、さらにはやはりもう先生がいない
という喪失感が、見え方を別のものにしている気がする。
この展示は、私なりの「カムチャッカ・みちゆき・大野一雄」への、
この場における追悼である。
これは世界広しといえども、此処でしか出来ない展示なのだ。
入口すぐ右手の小部屋には、かりん舎発行の記録集を積む。
11年後に出版された貴重な労作である。
その周りに公演当時使ったポスターを張り巡らした。
岡部昌生のデザインで、あの時の夕陽の色、光3原色で構成されている。
さらに本を置いた高台下に、当時の正規の入場券と半券を添える。
もうこれからそんなに、こんな展示をする事はないかも知れない。
再度作品を展示させて頂いた森本めぐみさんに、深く感謝したい。
時空を超えて、大野一雄の石狩は甦ったのである。
時に佇み、世界は染入る。
*追悼・大野一雄展ー7月9日(金)-18日(日):am11時ーpm7時
月曜定休・休廊。
*唐牛幸史展「REPUBLIC」-7月20日~展示準備作業。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503