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テンポラリー通信

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2010年 06月 22日

小さな旅ー木霊(こだま)する(18)

4日間の短かな会期だったが、西牧浩一版画展は終日人の絶えぬ日々だった。
本人から<ひとつの旅のようでした>、とのコメントを頂く。
会場へは靴を脱いで上がる方式をとり、床に自由に触れられる版画も散らばし
、見る人は気ままに2階吹き抜けに上がって見下ろして床の作品を見たり、
さらに寝転がったりと、まるで呉服屋さんで着物を選ぶような感覚もあって
、こんな風に版画を見る経験はなかったのではないだろうか。
壁に固定し、しかめ面をして鑑賞するのではなく、さまざまなシチュエーシヨン
で、作品を鑑賞していた。
その所為かひとりひとりの滞在時間が長く、人の切れることはほとんど
なかった。
最終日は特にそうで、最後の最後搬出の時にもいい友人たちが
甲斐甲斐しく手伝っていた。
これはこの作家の人徳であり、同時にそれはそのまま作品が保つ暖かさと
優美さにも反映していた。
作品は正直である。初対面で千葉の野武士などと勝手に思い込んでいた
自分の不明を思うのだ。

明けて休廊日の昨日、今週から始る写真家の3人展展示の合間を縫って
建築家のA氏と約束の円山川トレッキングに出かける。
A氏の新しい家はこの川の源流域に建てられたのだが、その場所まで
円山北町から遡上して歩く約束だったのだ。
西28丁目地下鉄駅で待ち合わせ、旧界川沿いに歩く。
途中川俣正のテトラハウスプロジェクトの現場を抜け、マンシヨン街の
小路を抜け川跡を進む。
昔の墓参道の真っ直ぐな道から、墓地を一直線に切り裂いた環状線を
渡り、すっと円山原始林に入った。
空気が一変して濃い緑の森の匂いに包まれる。
そこから円山川を遡り、途中の天然林にある桂の古木にA氏は、
思わず感嘆の声を上げる。
こんな樹は見たことがないと言う.。
さらにどんどん遡り、不動の滝を経てA氏宅に至る。
途中円山西町神社でこの地の由来を読み、以前はここが滝に因んだ
滝の沢という地名だった事を知り、感心していた。
美人の奥様の果実の接待を受けた後、さらにA氏宅から門馬ギヤラリー
へと向かった。
そこでは現在後藤和子展が開かれていて、このギヤラリー傍にある
アネックスというもうひとつのギヤラリーは、A氏の設計によるものだ。
後藤和子展はそこではなく、本宅の方のギヤラリーで展示されていて、
内に入ると後藤さんと杉山留美子さんがいた。
杉山さんとは久し振りの再会で、話が弾む。
ギヤラリーの床に低く開いた窓からは、新緑が溢れんばかりに滴り、
後藤さんの青の作品と絶妙なコントラストを見せている。
深い海の中に居るようである。
雨のさっと降り注いだ後の庭の苔が、非常に美しい。
後藤さんの作品もまた以前より広がりと奥行きを増したようで、
オーシアン(大洋)のようだ。
さらに空間の保つ伸びやかで開放的な外界との交感もあって、
今までで一番豊かな後藤ワールドを顕在させている。
門馬邸を出て、A氏と私はさらに伏見稲荷石段を下り、水の道を経て
出発点の円山公園まで戻った。

それから午後8時過ぎ写真家集団三角展の展示がさらに続いていたが
さすがに疲れて、会場には行かずお風呂に入り休む。

*写真家集団三角展「パラダイムシフト」-6月22日(月)-7月4日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休・休廊。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2010-06-22 12:37 | Comments(0)


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