陽射しが高くなり、暖かな日が続く。
これこそ5月。
路肩の土の緑が濃さを増し、そこにタンポポの黄色が眩しい。
やはり北には黄色がよく似合う。
光3原色、古代の4色。どちらにも黄色はない。
さらに黄色はそれだけを取り上げると、あまり好かれる色でもない。
しかしこの季節の風景で見る黄色は、一番勢い良く美しく感じられる。
漢和辞典で黄を調べてみた。
古字で、上部の字は火が多いこと、火の盛んなこととある。
光の古字。また色のこと。下部の田との合字。
田は土を表すから、やはり光と土に縁の深い色という事になる。
残雪の汚れた土の中から福寿草の最初の黄が顕われ、
新緑と濃い土の中からタンポポの黄が彩る。
まさに光と土の中から、黄が生まれている。
光が濃くなり、暖かさが増す。暖かさは太陽の火である。
太陽は赤という字の元でもあるから、黄色には太陽がそのバックボーン
にある事になる。
黄は実は北の国の太陽の色、赤なのかも知れない。
木々の保つ赤は、朱というともいう。
血の赤もそうした朱の方で、蜘蛛も虫偏に朱が付く。
赤が好きで黄色が嫌いという人も多いが、この人は朱が好きなので、
赤という光の側の黄を見ていない。
黄昏(たそがれ)も光の側の黄である。
黄泉の国の黄も光である。
朱の側の黄色は濁ったり、薄まったりした黄であるから、
光の側の黄とは違うように思える。
たんぽぽの黄金色に輝く黄は、まさの太陽の黄だと思う。
これから向日葵の黄も輝く季節になる。
赤は冬を表わす玄という字にも潜んでいて、
実は光の赤は秋・冬の色かも知れない。
我々はいつの間にか英語圏のyellowの色彩観に影響されて、
黄色を誤解しているのではないだろうか。
因みに英語でyellowは皮膚の色、臆病、黄だん、嫉妬とかマイナーな
意味が多い。
不当に黄が陥っている意味を、タンポポの黄色は断固として拒否する。
それが北の春の声だ。
*「交差線」4人展ー5月18日(火)-23日(日)am11時ーpm7時
*梅田マサノリ展「マニノ・アル・シツナイ」-5月25日(火)-30日(日)
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503