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テンポラリー通信

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2010年 05月 08日

レンギョの黄色ー青き繁みに(7)

曇天、小雨。
灰色の空気に、レンギョの黄が滲む。
早咲きの桜も仄かな桜色。
風はなく、静かな週末。
自転車を置いて歩く。
世界が有機的であること。
空気も風も気温もすべてが関りあって、生き物が呼吸する。
人間もそのひとつ。
風景に滲むレンギョの黄色が語りかける。
黄は喜・joy。
桜の仄かな赤より、福寿草とレンギョの黄色が好きだ。
コブシの白、葉木蓮の白。
北には、黄色と白がよく似合う。
皐月晴れなく、五月の鬱。
鬱には黄色が励まし、インスパイヤーである。
ドイツの谷口顕一郎さんが、凹みのプラステイックに何故黄色を使うか
AD&Aギヤラリー制作のDVDで、語っていた。
地味な亀裂をトレースし彫刻に仕上げていく時、他の色は思いつかなかった。
元の場所に嵌め込んだ時黄色が一番ぴったりくるのです。
路上の亀裂や壁の凹みは、雪融けの地面のように暗く地味である。
そこに一番最初に春を告げる色が、黄色だ。
福寿草の黄、小さな大地の喜。
今の時期は、レンギョの勢いある黄。
札幌生れの谷口さんは多分、その黄色を体験として保っている。
見捨てられた、何の変哲もない路上・壁の亀裂・凹み。
それは遅い春の汚れた大地の色と同じだ。
そこに咲く黄。
鮮烈な命の告知・再生である。
昨日今日のような灰色の曇天の日。
体の芯にまだ冬を引きずるような遅い春には、黄色が力を与える。
桜には、青空が似合う。

レンギョの枝先、勢いある黄に力を貰って歩く。
吹き曝しの室内から、石油の臭いも大分消えた。
「マニノ・アル・シツナイ」というタイトルで個展をする帯広の梅田マサノリさん
から、親身なメールを頂く。

マニ(摩尼):明(善)と暗(悪)の二元的世界観に立ち、特に悪からの救済を重視。

このタイトルと、油漬けの室内の符合が不思議だ。
個展に続く美術館でのグループ展展示で、希望の場所が許可されたという。
外庭を望む館内と外と繋がる庭での設置。
梅田さんの大きな透明な球体の作品は、館の内と外を繋ぎ6月の美しい光を
作品に撮りこむことだろう。
館外設置に厳しいお役所から、作品の創意で設置認可をかち取ったのだ。
いくら広くても、館内に何十人もある空間では、透明な球体は他の作品を
撮り込んで存在を半減する。
大きなガラスの壁のある外庭と接した場所、さらにはガラスの壁ひとつ隔てて、
外にも同じ球体の透明な作品がある事。
これが絶対必要な事だった。
ここにもマニの明と暗の相渡る世界がある。
<マニノ・アル・シツナイ>
レンギョの黄色と梅田さんのメールで、五月病の兆候は去る。

やはり歩くのがいい、
世界は有機的に関って美しい。

*「交差線」4人展ー5月18日(火)-23日(日)
*梅田マサノリ展「マニノ・アル・シツナイ」-5月25日(火)-30日(日)
*阿部守展ー6月1日(火)-13日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2010-05-08 14:04 | Comments(0)


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