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テンポラリー通信

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2010年 04月 27日

藤谷康晴展最終章ー早春賦(19)

乾いた路面に、梢がくっきりと銅板画のように映っている。
陽光は日に日に高く、陽射しは確実にその強さを増している。
藤谷康晴展終る。
最終日額装の作品を片づけた後、吹き抜けの直描きだけが残る。
白い壁に黒の描線が、美しい。
”自分で描いたものではないみたいだ・・”と藤谷さんが呟いた。
何もなくなった白い会場に、黒い描線と青一色の円が映えている。
現像から定着だね、と写真の暗室のように感じて応えた。
2週間の会期中、ここで描かれた作品は、ここに定着したかのようである。
今週末この絵は消去される。
初の大阪個展を前にして、この場で徹夜で仕上げた直描きの作品は
いい旅立ちを予感させるものだ。
<SAPPORO→>をタイトルにした真の意味は、この場にこそある。
そして最終日、ここで仕上げた作品だけになった瞬間、
その意味が朝の路面の梢の翳のように、くっきりと映し出されてあったのだ。
ひとりの作家の出立に、間違いもなく立ち会っているという実感である。
これが本当の藤谷康晴展である。
何もない空間に現代の障壁画のように作品がある。
飛天図のように、黒の描線が踊っている。
会期が終って、本当の展示が始っている。
あと二日だけの贅沢な空間である。
4年前この空間が立ち上がり、この空間とともに歩んだ藤谷康晴の
多分これは最後のSAPPOROオマージュでもあるだろう。
これまで描かれた額装作品がすべて消え、純粋にこの場で直に描かれた
作品だけになった時、その思いが強く印されているのだ。
偶然という姿で、今ここにある時間は必然のようである。
絵画のテロリスト藤谷康晴は、最後にここで纏いつく札幌を切り去ったのだ。
そう思う。
そして、札幌ー東京という米国型現代から、日本の欧州でもある関西へと
旅立つ必然性も、この壁画からは匂い立つようである。

連休の続く来週は展示なく、歩行と思索の時間となる。

*「交差線」4人展ー5月中旬~
*阿部守展ー6月1日(火)ー13日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2010-04-27 12:28 | Comments(3)
Commented by コトリ at 2010-04-27 13:05 x
壁の絵が一番好きでした 何かわからない生きものがたくさん棲息している気がしました
Commented by kakiten at 2010-04-27 13:20
コトリさん>そうですね、元気になりましたか?
Commented by コトリ at 2010-04-27 13:48 x
まだです もっと時間が必要な気がします


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