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テンポラリー通信

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2006年 03月 21日

風雪続く日にー岸辺の表情(12)

一日中風雪強く寒い日。なにか寒気がする、疲れか、風邪の前触れか。札大OG
の對馬千恵さんから電話。今日会いましょうと言う事だった。彼女は今福龍太さん
の教え子で優秀な人である。小山玲子さん吉成秀夫さんと前の店で吉増剛造さん
の話から知り合った。その後吉増さんの詩「石狩シーツ」の朗読、夕張ー江別ー
モエレ沼ー石狩河口の札大一泊シンポジュームの企画等いろんな場面で共に動
いた仲間である。今月末に一年間ブラジルへ行くと言う。そのお別れ会というか送
る会が今日になったのだ。酒井博史さんと午後3時過ぎに会いその後6時過ぎに
居酒屋楽屋で落ち合う。着くと山口昌男文庫の小山玲子さんとふたりが先に来て
待っていた。吉成君たちは連絡取れず来ないので3人で飲みだす。ふたりとも私の
ブログを読んでいてベルリンのケンちやん(谷口顕一郎さん)のメールの引用が話
題になる。丁度そのコピーを持っていたので見せると對馬さんが急に涙一杯になり
泣き出した。なにか胸に迫るものがあったのだろう、ブラジルへ発つ前の心の不安
や異国にいる人間からのさっぽろへ寄せる想いに打たれたのか分からないが、小
山さんとふたりでただ黙って見詰めていた。感情の嵐が去ってこれ見せると言って
對馬さんがノートパソコンを取り出し画面に写真を映し出した。それは退店した後の
あの店の写真だった。窓から覗き込むようにして撮った店内の光景、壁に残された
大野一雄の石狩公演のポスター、外の白樺と建物が空に俯瞰する光景、テンポラ
リースペースの黒い壁とその前のナナカマドの木、どれもが深い思いがなければ
撮れない視点だった。退去してすぐの2月の厚い雪とツララ、冬の青空と黒々とし
た無人の建物それに絡まるような樹の梢、枝先、白い幹そして電線の黒い直線そ
れらがまるで嵐が丘のようにあって私は思わず<そうだ、嵐が丘のヒースクリフ
だ!>と呟いた。死んだ恋人の墓を暴く強烈な人間の想いそれが今の私には共鳴
するように、その写真を見ている自分の内に感じられた。いい写真ですねと呟いた
。引越しの最中その内側から撮った外の風景は及川恒平さんと森美千代さんの傑
作があるけれど無人の退去後の写真は、對馬さんの写真が初めてである。すご
いなあ、みんなのあの場所あの時間に対する思いの深さをまた改めて感じる。そう
していると楽屋のマスターの松崎軍夏さんが一枚のCDを持ってきてこれ聴いて下
さいという。その曲は酒井博史さんが決め手でいつも歌う「夢よ叫べ」のオリジナル
遠藤賢治のそれだった。初めて聴くエンケンの歌声は渋く低く心に響きまた酒井さ
んとは違った味があった。しかし最後のフレーズ”負けるな友よ、夢よ叫べ!”は同
じように私の胸の中に響いたのだ。<いつもブログ読んでますから>と呟くように
松崎さんが曲が終わると言った。對馬さん小山さんも言葉なく頷いていた。こうして
ブラジルへ旅発つ若いひとりの人を送る夕べは終わった。でも何か私の方が多く
励まされ勇気を頂いた気もする。感謝です。對馬さん、そんなさっぽろでまた会い
ましょう!御元気で!

by kakiten | 2006-03-21 13:15 | Comments(4)
Commented by けん at 2006-03-22 07:50 x
對馬さんいってらっしゃい!!お互いにいい顔で次回会いましょう。
Commented by オシエモン at 2006-03-22 09:32 x
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Commented by chie at 2006-03-22 16:21 x
kakitenさん、けんさん、ありがとうございます。

居酒屋楽屋でkakitenさんは、札幌漂流の日々の出来事や人々のことをひとつひとつ話してくれたのでした。いつもとあまりに同じで、むしろ勢いがついているみたいで(笑)、ついつい夢中になって聞いてしまいました。kakitenさんは「最後は人に帰ってくる」とおっしゃっていて、そうだ、花器店は場所というだけでなく中森さんであり、けんさんや、そこで出会ったたくさんの人たちのことなんだなぁとしみじみ思ったのでした。

石狩、夕張と歩きましたが、また札幌を歩きましょう。
足のある限り!
Commented by kakiten at 2006-03-22 18:13
そうですね、千恵ちゃん気をつけて!帰ってきたらさっぽろ歩きましょう。


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