手稲山山稜が豊かに大きく、白く輝いている。
北18条通を西に抜ける広い道。
こうして見ると、山が目印のように町がある。
円山、三角山、藻岩山。その麓に人の集落が形成されてある。
風景と人の営みが、有機的に繋がっている。
それを近代というのだろうか。
現代は、その回路をズタズタに天地に切り裂いている。
昨日第二回目の昆・テンポラリーの会合がある。
昆虫学者木野田君公氏のスライドを使った昆虫の歴史と見分け方の
基礎的レクチャーである。
私は藤谷展来客でほとんど見れなかったが、後半地層との関係性から
昆虫の生態を話したあたりは、充分に興味深かった。
地層や地形の変動、変化と、昆虫の生態系が密接にある事は言われて当然
とは思うが、私には新鮮な事実だった。
川の方のアクセスから地層・地質図は調べていたが、昆虫の方からの
アクセスと共通する過程が面白かったのだ。
植物・昆虫・川が地形・地質と有機的な繋がるのは、あまりにも当然の事
ではあるが、自分の関心事に囚われると、そこに隘路があるからだ。
昆虫先生も同じように感じたらしく、私が札幌の地盤地質図を見せ。
川の話をすると一瞬顔が紅潮したように見えた。
さらに、夕張を源流とする阿野呂川、馬追のアイヌ語解釈を披露すると
その感はさらに深まった。
あン・ルルー山向こうの海辺。まウー呼気・風・ハマナスの果実。
今は内陸の夕張地方に海岸を表わすアイヌの古語がある。
それは古い地形・地質を同時に顕してもいる。
その地質と昆虫の生態系分布は一致するのである。
学名にサッポロの付いている昆虫も多々あるようだが、その固有種に
拘ることなく、とにかく地域に生息している様々な昆虫を知りたい。
その事でみんなの意見は一致した。
札幌といってもそれは石狩地方のひとつである。
ゾーンとして有機的に広がる世界を、昆虫の回路を通して見たいのだ。
地層・地質の観点から昆虫世界を見ることも、大きな昆・テンポラリー
である。
3時間近くに及ぶレクチャーは、和気あいあいとして楽しいものだった。
集った4人が何故か同じKで始る頭文字の人たちで、
これにケンちゃんこと谷口顕一郎さんも加われば、5Kとなる。
さらに昆虫のKも加わり、これはもうKの会だと思った。
夕刻久し振りの對馬千恵さん、芽室からわざわざ藤谷展を見に来た
長谷敏幸さんと、ふたりからは美味な差し入れも頂き、嬉しい一日だった。
*藤谷康晴展「ANALOG FLIGHT SAPPPRO→」-25日まで。
am11時ーpm7時。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503