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テンポラリー通信

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2010年 04月 24日

時の交差点ー早春賦(17)

佐佐木方斎さんが来る。
今年新作を発表してもらう予定だが、最近顔を見せないので
気になっていた。
ちょうど仕事を終えて来た藤谷さんに、佐佐木さんを紹介する。
一度佐佐木さんには、ちらっと会っているという。
しかしこうして佐佐木さんと話すのは初めてだ。
思い立って、佐佐木方斎3部作「格子群」「余剰群」「自由群」を
藤谷さんに見せる。
これ以上ないと思える位じっと集中して一点ずつ藤谷さんが見ている。
するとふっと思い出す事があった。
2006年8月に佐佐木芳斎の「格子群」を展示した時、その展示を手伝って
くれたのが、藤谷さんだったのだ。
そしてその会期中にムラギシが死んだ。
ムラギシ、藤谷、佐佐木と展覧会が連続した年の夏であった。
その頃佐佐木さんはまだベッドに寝たままのような生活で、当然会場には
一度も姿を現さなかった。
藤谷さんがちらっと佐佐木さんに会ったのは、この後の事である。
本人とゆっくり話し、じっくり作品を見るのは初めてである。
藤谷さんの作品を佐佐木さんが見るのも初めてと思う。
しかし彼らは、実は4年前の夏に交錯していたのだ。
あらためてふたりにその話をした。
都市の無機質な構造を細密に切り裂き、凝視する藤谷さんの初期作品と
佐佐木さんの削ぎ落とした直線の「格子群」は、都市への視座において
ある共通性がある。
数学畑出身の佐佐木さんの純粋抽象に対し、藤谷さんはより具象的で
情念的な展開となるのだが、その相違は相違として、互いに惹かれる
要素があるのだ。
作品集をすべて見終わった後藤谷さんに感想を聞くと、「格子群」が
やはり一番好きだと応えた。
この時電話が鳴る。東京M美術館の正木基さんからだった。
昨年暮の「’文化’資源としての<炭鉱>展」の資料を近々送るとの事だった。
今佐佐木方斎がいるよ、と伝えると代わってという。
彼らは’80年代のある時期「美術ノート」の編集をともにした友人である。
しばし電話でふたりの会話が続いた。
偶然とはいえ滅多にない良いタイミングだった。
時間とは不思議である。
砂時計のようにさらさらと、ただただ流れる時間もあれば、
ふっと立ち止って交錯する時空もある。
時の流れは時に逆流し、沸騰する。
死者もちらりと顔を出したりして。
閉廊後佐佐木方斎と軽くビールを飲んで別れた。

藤谷康晴展もあと二日。
小さな再会、出会いを重ね、関西大阪での来月個展へ続く。

*藤谷康晴展「ANALOG FLIGHT SAPPORO→」
 4月25日(日)まで。am11時ーpm7時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2010-04-24 12:14 | Comments(0)


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