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テンポラリー通信

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2010年 04月 22日

関西往還ー早春賦(15)

唐牛幸史さんが来る。
タンクに湧き水がそろそろなくなって、水汲みをお願いする。
風もあり、冷たい小雨降る昨日。
訪れる人も少なく、静かな日だった。
初めて会う藤谷さんと唐牛さんが話す。
唐牛さんは、京都のお寺の天井画や襖絵の話をする。
作品の大きさについてである。
額縁に入れて飾るのは、いわば西洋近代の影響である。
画はもっと部屋全体、時に伽藍全体に在る。
画だけではない。仏像もまた、伽藍全体に包まれ存する。
西洋でも教会やお城には、建物全体に音も絵画も彫刻も存在する。
近代以前には洋の東西を問わず、そうした空間に美術・芸術が存在した。
藤谷さんの二階吹き抜け上部に直接描いた絵と、一階壁に架けられた
額入りの絵画とのある種の分裂は、その所為かとなんとなく納得する。
額入りの絵画は近寄って微細に見ると、まことに多くの要素を含んだ曼陀羅
である。これがもっと大きな画面で壁いっぱいにあれば、階上の直描きの
ドローイングともっと響きあう。
額の中に納めることで、作品の保つ密度は内向きに抑制されている。
関西生活の先輩でもある唐牛さんの指摘は、私の中の今回少しもやっと
した藤谷康晴展を、明確なものにしてくれた。
額入りの小品のは別にして、今回展示した大きな4作品はその密度から
いっても額を超えて存在する力を秘めているからだ。
2年前モエレ沼公園ガラスのピラミッド内で、床一面のライブドローイングを
した藤谷さんには潜在的にもっと大きな広い空間で勝負できる力があるのだ。
かって一番街200m両側の建物を、無彩色に切り取った作家である。
この時の展示は、階上鴨居の位置にぐるりと下から俯瞰するように展示し、
額縁はなかったのだ。
次の5月大阪展へのいいヒントを藤谷さんは唐牛さんから頂いた気がする。
都市風景への憎悪とも、テロとも思える切り裂くような凝視の描線。
その内に篭る情念が熱くメラメラと溢れ、都市の無機質な壁を突き破って
情念の曼陀羅のように絵画に定着してきた藤谷絵画は、現代都市の向こう
近代とそれ以前の世界を多分関西で見詰め大きな転機を迎える事だろう。
金沢、京都、メキシコと世界を渡り歩いて生きてきた札幌生れの唐牛さんと、
これから初の道外個展を迎える藤谷さんとは、行く人、戻る人の交差が
昨日の会話で随所に交錯し、いい時間が過ぎた。
離れて見える北のナイーブな自然。そしてその自然とまるで違う歴史の風景。
その時自らの立ち位置が、明瞭に意識される。
藤谷さんの心の額縁が外れて、何かが始まる予感がする。

冷たい小雨降る藤谷康晴展第二週2日目。いい出会いであった。

*藤谷康晴展「ANALOG FLIGHT SAPPORO→」
 4月25日(日)まで。am11時ーpm7時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2010-04-22 12:14 | Comments(0)


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